鳥(niǎo)かごと団扇を手に持ち、ゆったりとしたランニングシャツに半ズボンという北京下町のおじさんの「夏の定番コーデ」のパンダや、ビール樽の上でビールジョッキを掲げるパンダ、清代コスプレで故宮にたたずむパンダなど、版畫(huà)家?丁未堂さんの作品の中のパンダたちにはどれも「クスッ」とさせられてしまう。北京市の歴史ある胡同?楊梅竹斜街にあり、ワークショップなども體験できるアートスペース「乾坤空間」で作品を発表している丁未堂さんの中國(guó)に対する思いや創(chuàng)作活動(dòng)などについてお話を聞いた。人民網(wǎng)が伝えた。

丁未堂さんのパンダシリーズポストカード（撮影?玄番登史江）。

年畫(huà)とポスター版畫(huà)に魅せられて

北京市にある中央美術(shù)學(xué)院の修士課程で3年間木版畫(huà)を?qū)Wび、その後も北京で創(chuàng)作活動(dòng)を続けている丁未堂さんが中國(guó)に來(lái)たきっかけの1つは、天津郊外の楊柳青という場(chǎng)所で作られている木版年畫(huà)だったという。年畫(huà)とはプクプクと太った妙にリアルな子供が金魚(yú)やら桃を抱えている姿や縁起物などが色鮮やかに描かれ、春節(jié)（舊正月）に家の室內(nèi)や玄関などに飾る絵だ。そして中國(guó)の解放前後に作成された白黒の版畫(huà)もまた丁未堂さんを惹きつけてやまなかったという。それを描いていた教授が中央美術(shù)學(xué)院にいたため、その教授に師事するため、中國(guó)にやって來(lái)たのだという。

丁未堂さんの版畫(huà)作品「お正月の駅」（丁未堂さんご本人提供）。

タイムスリップできるなら中國(guó)の漢代に！

「中國(guó)美術(shù)はどれも色がすごく強(qiáng)いと思います。作品からバーンと出てくる生命力があります」と中國(guó)の美術(shù)はどれもすごく魅力的と話す丁未堂さんだが、なかでも特に好きなのが漢代の畫(huà)像石（墓室の壁の部分に彫られた彫刻）なのだという。また漢代の墓の前に並ぶ石像や副葬品も好きだということで、「私は中國(guó)のどこかの時(shí)代にタイムスリップできるなら一番行きたいのは漢代です。色も形もシンプルながら3千年も4千年も経っても、まだまだ作品が主張してくる力を持っていて、そうした美術(shù)品を作りあげた審美眼が多分今の中國(guó)の全ての美術(shù)の源流になっていると思います」としている。

刷り上げた作品と版木（撮影?張若涵）。

創(chuàng)作におけるイノベーション

パンダシリーズを始め、丁未堂さんの作品は伝統(tǒng)工蕓とトレンドを見(jiàn)事に組み合わせた作品が多いと感じるが、その點(diǎn)に関しては、「自分勝手なようですが、私にとって創(chuàng)作は自分の技術(shù)との闘いです。それを通して皆さんに楽しい気持ちになっていただきたいという気持ちはもちろんありますが、トレンドを意識(shí)して追っているのではなく、興味を持っている素材や出會(huì)ったテーマを使うことで、私がこれのために何ができるかなという視點(diǎn)から作ることが多いです」としている。

現(xiàn)在は「チョマ」、日本ではカラムシと呼ばれている木綿以前の繊維を使用した作品作りに挑戦しているが、「特にイノベーションという自覚はなく、この生産量が激減しているチョマの絶滅の日が1日でも延びるかも」という気持ちでモノづくりをしているのだという。

丁未堂さんの版畫(huà)作品「花嫁行列の車(chē)」（丁未堂さんご本人提供）。

王京さんから見(jiàn)た丁未堂さんとは？

そんな丁未堂さんの創(chuàng)作活動(dòng)に対する真摯さと情熱について「乾坤空間」のオーナーである王京さんは、「丁未堂さんのパンダシリーズはとても人気があるんです。とても特徴的で、その難易度も高いです。彼女の作るカードは全て木版畫(huà)印刷で、手作業(yè)で版木を彫り、印刷していきます。そのため、全く同じデザインのカードを見(jiàn)つけることはできないと言っても過(guò)言ではありません。これほど工業(yè)化が進(jìn)んでいる現(xiàn)代において、極めて伝統(tǒng)的な方法で工蕓作品を表現(xiàn)しているのです」としている。

そして長(zhǎng)年にわたり創(chuàng)作を続ける丁未堂さんから聞き、王さんがとても印象的だったというこんなエピソードも紹介してくれた?！付∥刺盲丹螭现醒朊佬g(shù)學(xué)院に在學(xué)中、クラスの大半を占める中國(guó)人のクラスメートから『外國(guó)人留學(xué)生は中國(guó)に來(lái)て學(xué)んだとしても、帰國(guó)してしまうし、日本人女性の場(chǎng)合、結(jié)婚したらほとんどが仕事をしないそうだから、帰國(guó)したらあなたは多分木版畫(huà)から離れてしまうでしょう』と言われたそうです。でも彼女はその日、私たちにこう言ったのです。『私のクラスメートのほとんどが今はもう木版畫(huà)から離れてしまったけれど、私は卒業(yè)から今までずっとこの道を進(jìn)み続け、しかも自分のスタイルを見(jiàn)つけることもできました』と。彼女は中國(guó)で多くを?qū)Wんだだけでなく、この國(guó)にも多くを捧げ、貢獻(xiàn)してくれていると思います。そしてこれらは人々の尊敬を得るのに値することだと考えています」と王さん。

「若い人たちへのバトンタッチは年長(zhǎng)者の義務(wù)」を?qū)g踐

丁未堂さんは自身の創(chuàng)作活動(dòng)のほか、「乾坤空間」で木版畫(huà)や伝統(tǒng)工蕓などのワークショップも開(kāi)き、若い人たちにその技術(shù)を紹介している。以前は次の世代に殘すことは一つの責(zé)任だと思いつつも、明確に意識(shí)したことは無(wú)かったという。ただある時(shí)、「乾坤空間」での雑談で、「若い人たちに確実にバトンタッチするのは我々年長(zhǎng)者の義務(wù)である」という話になり、「私たちもどんどん年を取るし、私も人に教えるほどの技量は自分には無(wú)いと思っていたけれど、折角貴重な先達(dá)の皆さんが殘してくれたものを少しでも若い人たちにバトンタッチしなくてはと思い、今はワークショップを開(kāi)いています」と話す。そして今後については、「やりたいことはたくさんあるのですが、さしあたっては1枚でも多く木版畫(huà)を作って、自分の技能力も上げて、そしてそれを私もやりたいという人たちにお教えすることを1つでも多くこなしていきたいです」とその展望を語(yǔ)った。（文?玄番登史江）

「人民網(wǎng)日本語(yǔ)版」2023年8月3日