子パンダの健康をチェックする研究者。撮影?何勝山

野外に放たれたパンダの「琴心」。撮影?何海洋

子パンダに木登りを教える母パンダ。撮影?薛玉斌

無(wú)線機(jī)器を使い、パンダの動(dòng)向を追跡?モニタリングする科學(xué)技術(shù)者。畫像提供は中國(guó)ジャイアントパンダ保護(hù)研究センター

四川省都江堰市の市街地から車で出発し、蛇行した山道を走り一路西に向かい1時(shí)間余り経つと、中國(guó)ジャイアントパンダ保護(hù)研究センター臥竜核桃坪基地に到著した。ここは寒暖な気候で、雨が多く濕度が高く、パンダの自然生存環(huán)境に位置し、飼育パンダの野生復(fù)帰訓(xùn)練に非常に適している。人民日?qǐng)?bào)が伝えた。

飼育パンダの野生復(fù)帰は同センターが初めて生み出した重要技術(shù)で、主に野生復(fù)帰訓(xùn)練、野生復(fù)帰、モニタリングなどの段階に分かれる。長(zhǎng)年の間、何世代にもわたり科學(xué)研究者は多くの心血を注ぎ、整ったパンダ野生復(fù)帰訓(xùn)練及び野生復(fù)帰モニタリング技術(shù)體制を構(gòu)築し、実踐の中で高い効果を発揮している。

野生復(fù)帰は野生パンダ個(gè)體群の回復(fù)と再建の重要手段

同基地野生復(fù)帰訓(xùn)練エリアには、山を登ったり下りたりする職員が踏み固めて作った小道以外には人類活動(dòng)の痕跡はほとんど見られず、原始的な生態(tài)を保っている。この靜けさを破らないために、筆者は攜帯電話をマナーモードにし、音を立てないようにし足を踏み入れた。

生い茂る木々の間で、パンダの「博斯」が子パンダと眠っていた。近くでは「パンダ服」を著用した飼育員がこの時(shí)間を利用し、急いで小屋の清掃を行い新鮮な竹を補(bǔ)充していた。

同基地野外研究動(dòng)物管理部の何勝山部長(zhǎng)は取材に、「人の匂いを隠すように、パンダ服にはパンダの糞と尿の抽出物をスプレーしている。飼育パンダは飼育員に親しみ依存しているが、野生復(fù)帰訓(xùn)練中の飼育員は常に身を隠さなければならない」と述べた。

野生復(fù)帰は野生パンダ個(gè)體群の回復(fù)と再建の重要手段であり、パンダ保護(hù)に対して重要な意義を持つ。

オスの亜成體のパンダ「祥祥」は2006年4月、獨(dú)立野生復(fù)帰訓(xùn)練を経て野外に放たれた。ところが職員は1年もしないうちに雪の中にその死體を発見した。分析?研究の結(jié)果、「祥祥」は野生のパンダとの縄張りと食料をめぐる爭(zhēng)いで、高所から落下し重傷を負(fù)い死んだと判斷された。

同センターは「祥祥」の野生復(fù)帰の失敗例を総括し、▽適切な學(xué)習(xí)対象の不足により野外での生存能力が不足した▽野外に放ったエリアは個(gè)體群の數(shù)が飽和しており、十分な生存空間が足りなかった▽野外の大人のオスパンダは縄張りと配偶者の爭(zhēng)いが非常に激しく、「祥祥」は戦いの経験が不足し負(fù)けた、といった可能性を示した。

経験を総括した上で、努力を重ねていく。飼育パンダ個(gè)體群の數(shù)が安定的に増加すると、同センターは2010年に、飼育パンダ野生復(fù)帰訓(xùn)練第2期プロジェクトを開始し、そして「母が子を率いる」という野生復(fù)帰訓(xùn)練の新方法を初めて開発した。

誕生後、直ちに野外生存技能を?qū)Wぶ

パンダの成長(zhǎng)と行為の発育の特徴に基づき、野生復(fù)帰訓(xùn)練は2つの段階に分かれた。生後間もなくから1歳頃までは、約2000平方メートルの小型訓(xùn)練エリア內(nèi)で母乳を飲む。1歳頃から野生復(fù)帰前までは、20-30萬(wàn)平方メートルの大型訓(xùn)練エリア內(nèi)で、自ら竹を食べることを徐々に覚える。大型訓(xùn)練エリアは、パンダの野外生息地環(huán)境に置かれる。高い喬木、生い茂る竹林、そして複雑な地形があり、完全に自然の狀態(tài)にある。

長(zhǎng)期的な実踐と研究の基礎(chǔ)を踏まえ、同センターは「母が子を率いる」という畫期的な訓(xùn)練を?qū)g施した。何氏は、「子パンダは誕生後間もなく母パンダと暮らし、大自然で食料と水源を探し天敵を避けるといった生存技能を徐々に學(xué)ぶ。飼育員は何日かけてもパンダに木登りを教えられなかったが、今やパンダの母が口で子を木に押し上げると2回で覚えるようになった。パンダは一連の訓(xùn)練と専門家の論証?評(píng)価を経てからはじめて自然に帰ることができる。その時(shí)2、3歳のパンダは乳離れしたが大人になる前の段階であり、亜成體として野生のパンダ個(gè)體群により溶け込みやすい」と述べた。

赤ちゃんパンダの「刷り込み」行動(dòng)を回避するため、人為的な活動(dòng)の影響を極力減らす必要がある。飼育員の張大磊氏は、「飼育員は母パンダに餌やりをするたびにパンダ服を著用し、子パンダの人間への依存を回避する。人間を察知すれば自ら近づくのではなく回避するようにさせる。こうしてはじめて順調(diào)に密林に戻れる」と述べた。

科學(xué)研究者の韋華氏はパンダの野生復(fù)帰訓(xùn)練で命を落としかけた。天臺(tái)山で訓(xùn)練を受けた子パンダ「八喜」は2016年12月、野生復(fù)帰の年齢に近づいていたが、2日続けてその姿が確認(rèn)されなかった。韋氏と同僚は心配し、訓(xùn)練エリアに入り捜索した。すると思いがけず、子を守ろうとする母パンダ「喜妹」から襲われ、重傷を負(fù)った。それでも、韋氏は、「喜妹が私に噛み付いたのは、野性的で母性が強(qiáng)いためだ。これはまさにパンダ野生復(fù)帰の目標(biāo)だ」と述べた。

秩序正しいパンダ野生復(fù)帰、微小個(gè)體群の遺伝の多様性を改善

野生復(fù)帰後のパンダの生存狀態(tài)はどのようにモニタリングするのだろうか。

同センター調(diào)査モニタリング所の謝浩?上級(jí)エンジニアは、「野生復(fù)帰の際にパンダに追跡?モニタリング可能な電子首輪を取り付け、衛(wèi)星信號(hào)によりその活動(dòng)の軌跡や健康狀態(tài)などの情報(bào)を追跡する。ただ、首輪は1年半ほどで取れてしまい、長(zhǎng)期的な追跡とモニタリングが不可能だ。赤外線カメラや糞の採(cǎi)取などによって、さらに多くのデータを集めなければならない」と説明した。

同センターは現(xiàn)在まで11頭の飼育パンダの野生復(fù)帰を行っており、うち9頭は生存している。そのうち7頭は絶滅の恐れのある小相嶺山系野生個(gè)體群に、2頭は岷山山系野生個(gè)體群に溶け込んでいる。野生復(fù)帰したパンダのうちオス1頭とメス4頭の計(jì)5頭が満6歳になり、繁殖可能な壯年期に入った。同基地の責(zé)任者である?yún)掖Ｊ悉?、「野生?fù)帰したパンダが、野生個(gè)體群に溶け込み次の世代を育んで初めて、野生個(gè)體群拡大の目的を達(dá)成できる。しかし野生復(fù)帰パンダが次の世代を産んだ明確な証拠を見つけるには忍耐と時(shí)間が必要だ」と述べた。

中國(guó)は現(xiàn)在、國(guó)家公園における宇宙?上空?地上一體化モニタリング體制を構(gòu)築中だ。同センター調(diào)査モニタリング処の楊建処長(zhǎng)は、「これを契機(jī)に、パンダ野生復(fù)帰のエリア內(nèi)でカメラや赤外線カメラなどのモニタリング設(shè)備を増やし、大空間モニタリング能力を高める。同時(shí)に首輪の研究開発を強(qiáng)化し、バッテリーの耐用年數(shù)の延長(zhǎng)に取り組み、測(cè)位の精度を上げ、録音のリアルタイム伝送を?qū)g現(xiàn)することにより、パンダの野外での動(dòng)向といったより多くの野外生存情報(bào)を把握していく」とした。（編集YF）

「人民網(wǎng)日本語(yǔ)版」2023年10月18日