マイバッグや持ち帰り容器を持參して食品を購入し、生ゴミは堆肥にし、洗剤やうがい薬を自作する……北京に暮らす湯蓓佳さんの「ごみゼロ生活」の一コマだ。湯さんはこうしたライフスタイルの提唱者でもあり、環(huán)境保護(hù)マーケットやごみゼロピクニックなどのイベントも企畫する。
資源の浪費(fèi)を少なくし、生態(tài)環(huán)境を大切にし、廃棄物をできるだけ回収?利用する。現(xiàn)在の中國では、こうした環(huán)境保護(hù)に配慮した「ごみゼロ」ライフスタイルが徐々に流行している。
ごみゼロとは?
ごみゼロのライフスタイルの概念は米國の環(huán)境活動(dòng)家ベア?ジョンソンが打ち出したものだ。2010年の著書「ゼロ?ウェイスト?ホーム:ごみを出さないシンプルな暮らし」には、さまざまの実用的な「暮らしのヒント」によって、「できるだけごみを出さないようにする」環(huán)境保護(hù)の考え方が詳しく書かれており、世界各地でごみゼロのライフスタイルを目指す実踐者を100萬人以上生み出した。
このほど中國で発表された「Z世代(1995年代後半から2009年生まれの世代)のごみゼロ生活報(bào)告」によれば、ごみゼロと言うと、54%の人が真っ先に「食べ殘しゼロキャンペーン」を頭に思い浮かべ、次は「グリーン移動(dòng)交通」、「ごみを出さない」、「たくさん買いすぎない」を思い浮かべるという。ここから人々がごみゼロと日常生活、日常の消費(fèi)を関連づけていることがよくわかる。一方、「堆肥」、「カーボンニュートラル」、「ミニマルライフ」、「カーボンフットプリント」などの相対的に専門的な用語が頭に浮かんだ人は20%以下にとどまり、ここから、専門性の高いごみゼロの行動(dòng)?用語はまだあまり知られていないことがわかる。とはいえ、実際にごみゼロライフは今やローカーボンライフに向かう1つのスタイルになっている。
同報(bào)告書によると、私たちがごみを生み出すペースは想像よりもかなり速いという。57%の人が「1人が1週間に出すごみは5キログラム以下」と考えているが、実際には北京市では1人が1週間に平均約8.4キロのごみを出している。
ごみゼロに対する理解は人によってさまざまだ。ごみゼロとは浪費(fèi)しないことと考える人もいれば、ごみゼロライフとはファストファッションに異を唱え、シンプルな生活を送ることだという人もいる。
簡単に言えば、ごみゼロとは「できるだけごみを出さない」スタイルの上に築かれた一種のライフスタイルの選択だ。理念であり、目標(biāo)であり、廃棄物を管理する方法でもある。絶対的な意味でのごみゼロは実現(xiàn)が難しいかもしれないが、できる限り近づこうとすることは可能だ。そのため、ごみを減らす1つ1つの行動(dòng)がすべてごみゼロに向かっていると言える。たとえばマグカップを持參したり、マイバッグを持って出かけたりすれば、ごみゼロライフの第一歩になる。
ごみゼロと私たちとの距離は?「環(huán)境保護(hù)はかっこいいい」
中國にはごみゼロをテーマにしたSNSのグループがある。「零活実験室(Go Zero Waste)」といい、17都市に都市別の小グループがある。オンラインでも個(gè)別テーマごとに20の小グループがあり、オフラインでは定期的にイベントや展示を行い、すべての活動(dòng)が「ごみゼロのライフスタイル」のテーマをめぐって行われている。
グループの創(chuàng)設(shè)者「Elsa」さんはリーダー的存在で、グループ內(nèi)では親しみを込めて「老湯」と呼ばれている。そんな湯さんの自宅と仕事場は北京市昌平區(qū)新城村にあり、自分たちで改造した家で暮らしの様子を紹介している。夫婦2人の衣類を1メートル×2メートルのクローゼットにどうやって収めているか。冷蔵庫やテレビ、ソファのない家で、必要なものはいったい何か。中古の家具や家電、板を使って新品のような家にするにはどうするか。湯さんの暮らしはこうしたことを教えてくれる。
湯さんは、「2016年にネットで、ゼロウェイスト運(yùn)動(dòng)をしている環(huán)境活動(dòng)家のローレン?シンガーのニュースを見た。ごみゼロの概念を初めて知った時(shí)は、それほど重要とも思わなかったし、環(huán)境保護(hù)は自分とは縁遠(yuǎn)いものというのが実感だった。生活のことで考えることがいっぱいあって、環(huán)境保護(hù)なんて考える余裕もなかった」と振り返る。これは多くの人の本音だろう?,F(xiàn)代の都市生活は非常に忙しく、若者の生活は仕事と戀愛で大部分の時(shí)間が占められている。環(huán)境保護(hù)と言っても、ただのスローガンにしか聞こえない。
しかし湯さんは、多くの人がごみゼロは達(dá)成不可能だと言うが、それはなぜだろうと考え始めた。ゼロという極端な目標(biāo)に恐れをなしているのだろうか。それとも自分の生活習(xí)慣を変えるのは大変な時(shí)間と労力のいることだと考えているのだろうか。それから1年間の実踐を通して実感したことを通じて、湯さんはごみゼロは壯大なプロジェクトなどではなく、日常生活のほんのちょっとした習(xí)慣や選択の積み重ねであると気づいた。一番難しいのは最初の一歩を踏み出すことだったという。
湯さんは仕事を辭めて、資料調(diào)べとアカウント運(yùn)営を始めた?!腑h(huán)境保護(hù)はかっこよくて、面白い。負(fù)擔(dān)にはならないはずだ。もしも環(huán)境保護(hù)に取り組む過程で苦痛を感じたなら、ずっと永遠(yuǎn)に続けることはできないだろう。自分のできるところから始めればいい。人と比べる必要はない」という。
ごみゼロを?qū)g踐するのはどんな人?
ごみを出さないようにするにはどうしたらいいか。買い物を減らし、繰り返し使うことはもちろんだが、66%以上の人が「製品の設(shè)計(jì)過程でごみゼロの考え方を取り入れるべき」と考え、62.01%が「自分の欲望についてじっくり考え、不要なものを買わないようにするべき」、80%以上が「中古品を買う」としていた。また、若者の85%が「繰り返し使うのと回収?利用するのは違う」との見方を示した。
今、ごみゼロを?qū)g踐しているのはどんな人か。同報(bào)告書によると、5つのタイプがあるという。まずは「體を使って実踐する派」で、認(rèn)識(shí)の上でも態(tài)度の上でも、さらには行動(dòng)の上でも、迷いなく実踐するごみゼロの達(dá)人だ。次は「積極的に提唱する潛在力派」で、実際の行動(dòng)には移していないが、認(rèn)識(shí)や環(huán)境保護(hù)に対する態(tài)度という點(diǎn)では、ごみゼロに高い関心を持つ人々だ。3つ目は「節(jié)約新貴族行動(dòng)派」で、中心を占める人々であり、ごみゼロの概念よりもどうやって節(jié)約するかに関心を寄せる。4つ目は「概念を宣伝する理論派」で、豊富な理論や知識(shí)を備えるが、環(huán)境への関心度や実踐ではやや他のタイプに及ばない人々だ。最後は「感動(dòng)派ドリーマー」で、環(huán)境に対して高い関心を抱くが、認(rèn)識(shí)や行動(dòng)のレベルはそれほど高くない人々だ。
ごみゼロはどうやったら達(dá)成できるか?
ごみゼロに取り組もうとするのは、それが興味深く面白いライフスタイルで、自分にやさしく、環(huán)境にもやさしいからだ。ごみゼロは私たちに、節(jié)度ある消費(fèi)をし、もっと大切に物を使用し、責(zé)任をもってごみを分類して廃棄するよう訴えかける。
ごみゼロを?qū)g踐しようと思うなら、飲食や娯楽など様々なシーンでごみゼロに取り組むことができる。
食事を作り、お弁當(dāng)を持參する。自分や大切な人のために臺(tái)所に立つことは、忙しいが単調(diào)な生活を暮らしの息吹で満たすだけでなく、不要なたくさんのごみを減らすことにもつながる。
レストランで食事をする際には、店側(cè)が提供する使い捨ての食器はできるだけ使わないか、全く使わないようにし、プラスチックのストローも使用を減らす。食べ殘しがあれば、進(jìn)んで持ち帰るなどの方法がある。
使い捨ての食器を使わない。たまに持ち帰りをしたりデリバリーを頼んだりする場合にも、ごみゼロのやり方はある。マイ食器を使う、持ち帰る時(shí)に持參の容器を使う、デリバリーで「使い捨て食器は不要」にチェックを入れる、ストローは持參するか使わないなどだ。
遊んだりくつろぐときでもごみゼロは実踐できる。
自宅にいる時(shí)には、衣類を整理して、使っていないものは寄付するか人にゆずり、ごみゼロを?qū)g踐するブロガーの動(dòng)畫を視聴し、ごみゼログループの雙方向の活動(dòng)に參加し、リメイクに挑戦する。ちょっとした集まりがあれば、中古品を持ち寄って交換して新しいものを買う機(jī)會(huì)を減らし、食べ物は食べる分だけ注文して、無駄を減らす。旅行に行く時(shí)は自分の洗面具を持っていき、ホテルの使い捨てアメニティはあまり使わないか一切使わないようにし、ストールやコートをいつも攜帯して、飛行機(jī)の毛布は使わない。移動(dòng)の際に紙コップや使い捨てスリッパなどの使い捨て用品の使用を減らすかゼロにするなどが可能だ。
ショッピングでもごみゼロは実踐可能だ。買う物を慎重に選び、お金を使うべきところと使うべきでないところ、どれがストレス解消のための消費(fèi)か、どれが行き過ぎた消費(fèi)かをしっかり見極める。物を大事にし、自分の実際の狀況を踏まえて、自分の消費(fèi)の限界を定める。たとえば口紅なら2本までしか持たない、スニーカーは2種類までにするなどの、小さな目標(biāo)を設(shè)定する。慎重に選んで手に入れた自分の好きなものを大切にして、まだ使えるが使わなくなった時(shí)は、その物にふさわしい次の落ち著き先を探すことができる。(人民網(wǎng)日本語版論説員)
「人民網(wǎng)日本語版」2021年8月30日