青釉瓷尊(鄭州博物館所蔵)
1965年に考古學者たちは河南省鄭州市にある3500年以上前の殷代前期の古墳において、「青釉瓷尊」を発見した。陶胎はカオリンで、表面には釉薬がかけられ、1200度以上の高溫で焼き上げられている。カオリンの陶胎に釉薬をかけることで、割れにくく、吸水率が低く、たたくとかわいた金屬音がする。そのため、「青釉瓷尊」は陶器とは本質的に區(qū)別されている。素樸で、きめが粗く、最も古い時期の磁器の「代表作」である「青釉瓷尊」は、その発見により、中國の磁器の歴史を1000年以上早めることになった。
中國は、世界で最も早く陶器を発明し、使用し始めた國の一つで、1萬年以上前の新石器時代初期に、陶製品がすでに人々の「日用品」となっていた。「青釉瓷尊」を代表とする初期の磁器は、殷の時代に起源を発し、陶器から磁器へと移行する段階で生まれ、その後、西周、春秋、戦國、漢の時代に、その技術は向上し続けていった。ただ當時の技法と技術には限界があり、その原料の処理は不十分で、陶胎は比較的目が粗い。また、丁寧なろ過や水簸土、土練り、寢かせなどの段階を経ていないため、陶胎の不純物が多く、釉薬の色も不安定といった欠點が見られる。しかしそうした原始的な方法で作り上げられるため、完成品ができる率は極めて低く、さらには現(xiàn)在まで優(yōu)れた狀態(tài)で殘っているのは、非常に珍しいケースとなる。殷代というと、青銅器が非常に盛んに作られていた時期であることを知る人は多いが、その時代に磁器の製作技術がひっそりと芽を出していたことはあまり知られていない。(編集KN)
中國の文化財は語る
博物館は人類文明を保護し、伝承する重要な場。博物館に所蔵されている文化財は埃をかぶった骨董品ではなく、いずれも民族の生きてきた証となる生きた伝承だ。「中國の文化財は語る」では毎回博物館に所蔵されている文化財の紹介を通じて、文化財に込められた中國の文化と精神について紹介していく。
「人民網日本語版」2024年5月13日
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