人民網(wǎng)が展開している中國各地の貧困支援の現(xiàn)狀を紹介する「大道康荘」。山東省では2018年末にすでに同省の基準(zhǔn)における貧困人口251萬6千人と同省が指定した貧困支援業(yè)務(wù)重點村8654ヶ所が全て貧困脫卻し、その基本的な任務(wù)を全て完成させている。今回、人民網(wǎng)では臨沂市と菏沢市における貧困支援に関する取材を展開、その先々で素敵な笑顔を浮かべたお年寄りやECプラットフォームを活用し貧困脫卻を目指して頑張る人々などに出會った。
しわに刻まれた顔に浮かぶ笑み
高齢者向け集合住宅の広場でトランプ遊びに興じていたお爺ちゃんや、新築の高齢者向け住宅に移り住み、仲間たちとの牌九(ドミノのような牌九牌という駒を使ったゲーム)遊びが何より楽しみだと、なんとも嬉しそうな表情を浮かべながらその遊び方を紹介してくれたお爺ちゃん。山腹に広がるナツメ畑でザルを片手に収穫していたお婆ちゃんは、山道を登りながら取材場所に向かう私たちを目にすると、両手いっぱいに摘みたてのナツメを持たせてくれた。
彼らの住まいや暮らしぶりはまだまだ都市部とは大きく隔たりはあるものの、コミュニティが高齢者たちの暮らしをしっかり支える體制は、今後、日本以上に高齢化社會が深刻になると言われている中國において、ますます重要になっていくことだろう。
ECプラットフォーム活用による貧困脫卻
農(nóng)産物などをECプラットフォームやライブコマースを通じて販売し、貧困支援を行うスタイルは山東省に限らず、中國各地で展開されている。農(nóng)産物が豊かな山東省では、品種改良による?yún)g価のアップや、ECプラットフォームがパッケージや販売サポートを提供することで商品の付加価値を高めるなどの施策がとられている。
別名「淘寶村」と呼ばれている菏沢市曹県大集鎮(zhèn)丁樓村は舞臺衣裝の販売で貧困脫卻を?qū)g現(xiàn)。以前は青島のレストランで働いていたという趙営さん(34)は約6年前、地元に戻り、子供向けの舞臺衣裝のビジネスを始めた。裁斷や縫製を一から學(xué)び始め、加工の請負(fù)作業(yè)で経験を積みながら、次第に生産規(guī)模を拡大していった趙さんは、2018年からは同村が提供する貧困支援用作業(yè)場を借り受け、年間300萬元(約4600萬円)の売り上げをあげるまでに成長。しかし今年の新型コロナの影響で子供関連のイベントが次々中止となってしまい、深刻な影響が出ているという。そんな趙さんは現(xiàn)在、オリジナルデザインの子供向け漢服を販売するなど、今後の方向を模索中だ。
山東省で見つけた食べ物あれこれ
山東省と言えばマントウを始めとした各種の粉ものが有名。味噌と長ネギを巻いてかぶりつく大きな大きな煎餅(ジエンビン)、名前は同じ「焼餅」でも、場所によって形も味も違う焼餅(シャオビン)。この他にも、高タンパクのご馳走として出されたセミの幼蟲や、懐かしい味のするコーリャンのソフトキャンディーなど、素樸ながら味わい深い食べ物にたくさん出會った。
日本でも所得格差が広がり、「貧困家庭」が話題になり始めているが、日本でいう貧困は相対的貧困に當(dāng)たるため、中國が國をあげて展開している絶対的貧困への「貧困支援」とは異なる。とはいえ、貧困児童の就學(xué)や高齢者への支援など、日本と共通する課題も少なくない。支援の一つ一つを取り上げれば、まだ完全とは言い難いものもあるものの、政府がしっかり支えようとしている意気込みは間違いなく感じられた。(文?玄番登史江)
「人民網(wǎng)日本語版」2020年10月15日