7月20日、中國が獨自の知的財産権を備え、時速600キロメートルの高速リニア交通システムが、山東省青島市でラインオフした。中國中車股份有限公司が5年にわたって研究開発してきたもので、世界で初めて設(shè)計最高速度が600キロメートルに達(dá)したリニア交通システムとなる。
このリニアはどんな技術(shù)的難関を突破したのか。安全性はどうか。どのような重要な意義を持つのだろうか。
どんな技術(shù)的難関を突破したのか
このリニアは先頭車両が全長16メートルで、電気を流すことで生まれる磁力により、車體がレールと接觸せずに浮上?駆動?走行することが可能だ。浮上するので走行時にレールに接觸せず、受ける抵抗は空気抵抗しかないため、高速での走行が実現(xiàn)する。
5年にわたる研究開発の結(jié)果、プロジェクトチームは重要なコア技術(shù)の確立に成功し、できあがったシステムは速度の向上、複雑な環(huán)境への適応性、中核システムの國産化といった難問を解決し、システムインテグレーション、車體、けん引?電気供給、運行制御通信、線路?レールなど一連のプロジェクト化技術(shù)において重要なブレークスルーを達(dá)成した。
同プロジェクトは5両編成の時速600キロ高速リニア実用化列車を開発した。新型の先頭車両と空圧ソリューション、そして軽量?高強度車體を開発し、中核部品の製造技術(shù)を確立した。高速リニアけん引?電気供給システムの獨自開発を完了し、長距離?大幹線の自動追跡運行に適応する高速リニア運行制御システムを構(gòu)築した。さらに新型軌道桁を開発した。システムインテグレーションのイノベーションを行い、高速リニアの複數(shù)シーンにおける運用の需要を満たし、複雑な地理的?気候的環(huán)境に適応できるようにした。時速600キロ高速リニア交通システムは現(xiàn)在すでにインテグレーションとシステムの総合調(diào)整を終えている。
高速運行はどのようにして安全な運行を保証するのか
高速リニア交通システムは「車體がレールを抱え込むようにして走る」構(gòu)造を採用しており、安全で信頼性が高い。けん引?電気供給システムは地上に配置され、列車が移動するにつれてブロックごとに電気が供給されるので、隣り合うブロックごとにそれぞれ1臺しか列車は走行しておらず、基本的に追突のリスクはない。鉄道の運転レベルで添乗員付き自動運転GoA3(レベル3)を?qū)g現(xiàn)し、システムの安全?事故防止では安全度水準(zhǔn)のSIL4(最高レベル)などの要求を満たしている。車內(nèi)空間が広く、快適な乗車體験を提供できる。1両あたり100人以上の乗客を乗せることができ、2両から10両までの間で柔軟に編成ができ、さまざまな定員のニーズに対応できる。車體は走行中にレールと接觸しないため、レールの消耗やメンテナンス量が少なく、オーバーホールの周期が長く、ライフサイクル全體にわたり経済性に優(yōu)れるといったメリットがある。
走行テスト推進とプロジェクト化モデル事業(yè)の條件を備える
世界の先端技術(shù)である高速リニアは、世界の軌道交通分野における先端分野の1つであり、グローバル交通テクノロジー競爭の戦略上の要衝でもある。複數(shù)の國が異なるテクノロジー?ロードマップによって長期にわたり持続的に開発を進めるとともに、テスト?営業(yè)用線路を完成、もしくは計畫している。
世界の先端テクノロジーである高速リニアは中國の「交通強國建設(shè)綱要」に組み込まれ、「國家総合立體交通網(wǎng)計畫綱要」も高速リニアの路線配置と走行テスト用線路の建設(shè)を研究?推進することを打ち出した。
中國工程院の何華武副院長は、「20年近い継続的な研究と技術(shù)の蓄積により、中國は高速リニア交通トータルシステムの獨自開発能力をほぼ獲得し、一連のプロジェクト化技術(shù)を構(gòu)築し、自主権と獨立性を持つ産業(yè)配置能力を備えることに成功した。中國の高速リニアは研究開発段階から高速テスト段階へ移っており、今後は徐々にテスト運営段階、産業(yè)化発展段階へと進んでいく。時速600キロメートルの高速リニア交通システムがラインオフしたことは、線路での走行テストとプロジェクト化モデルを推進する條件が備わったことを示している」と述べた。
現(xiàn)在、中國の各地で高速リニア鉄道の建設(shè)改修計畫が打ち出されている。2021年3月には、京滬(北京-上海)高速リニアが交通運輸部(?。─?1年交通輸送戦略プラン政策プロジェクト計畫に組み込まれた。20年には浙江省が発表した「省の総合立體交通網(wǎng)計畫」意見募集稿で滬杭(上海-杭州)リニアなどのプロジェクトが打ち出され、同リニアへの投資総額は約860億元(1元は約17.0円)、設(shè)計速度は時速600キロメートルとなっている。20年には雲(yún)南省も昆明-麗江間の高速鉄道を新設(shè)する計畫を打ち出し、高速リニア方式での建設(shè)を検討中であることを明らかにした。また、中國中車がこのほど打ち出した計畫では、山東省に高速リニアテスト線路を建設(shè)するという。
高速鉄道があるのに高速リニアを発展させるのはなぜ?
時速600キロメートルの高速リニアは現(xiàn)時點で実現(xiàn)可能な最高速度で走る地上の交通機関だ。実際の移動時間で計算すれば、1500キロメートル以內(nèi)なら最も速い交通手段になる?,F(xiàn)在、高速鉄道の最高運行速度は時速350キロメートル、飛行機の巡航速度は時速800-900キロメートル。時速600キロのリニアはちょうど高速鉄道と飛行機の間の空白を埋めることになる。北京から上海まで行く場合、前後の時間も含めて、飛行機なら約4.5時間かかり、高速鉄道なら約5.5時間だが、高速リニアを利用すればわずか2.5時間ほどしかかからない。
高速リニアが加わることで、「飛行機、高速リニア、高速鉄道、都市交通」という速度段階が整った、高効率かつ柔軟で便利な多元的立體交通構(gòu)造が構(gòu)築されることになる。応用シーンが豊富にあり、長距離輸送に利用することで、交通を「回廊化」し、大規(guī)模ターミナル都市間や都市群間に高速の回廊を形成し、地域間の協(xié)同発展を促進することができる。また中?短距離旅客輸送にも適用し、中?短距離圏內(nèi)を「通勤圏化」、「同一都市化」することができ、大都市の通勤圏內(nèi)や都市群內(nèi)の隣接する都市を連結(jié)して、30分から1時間の経済圏を生み出し、都市圏と都市群の「一體化」と「同一都市化」の方向への発展を促進することができる。
清華大學(xué)交通研究所の陸化普所長は、「600キロメートルクラスの高速リニアシステムには多くの重要な意義がある」として、次の3點を挙げた。
(1)「交通強國」を?qū)g現(xiàn)し「全國123移動交通圏」(都市エリア1時間通勤、都市群2時間到達(dá)、全國主要都市3時間カバー)を構(gòu)築するという目標(biāo)の実現(xiàn)をバックアップし、「交通強國建設(shè)綱要」における主要都市間の「3時間交通圏」実現(xiàn)の目標(biāo)及び都市群內(nèi)の「2時間交通圏」発展目標(biāo)の実現(xiàn)を支援する。
(2)世界トップクラスの交通サービスの実現(xiàn)をバックアップする。時速600キロメートルのリニア交通システムは、人々の長距離旅行のスピード、快適さ、便利さを大幅に向上させ、経済的?地理的な位置づけによる特徴、地域の競爭力、地域の生活スタイルを変化させる。
(3)中國高速鉄道技術(shù)など新技術(shù)設(shè)備の先行的な地位を強化するうえで役立ち、中國の科學(xué)研究と先端プロジェクト技術(shù)が関連産業(yè)の発展?高度化をリードし、けん引することを促す上で重要な意義がある。(人民網(wǎng)日本語版論説員)
「人民網(wǎng)日本語版」2021年7月26日