中國の高級酒「マオタイ」を製造販売する貴州マオタイ酒股份有限公司は、10日の間にマオタイアイスの直営店2ヶ所を立て続けにオープンし、若者を取り込もうと動き出している。
1個約1300円 ハーゲンダッツよりも高い
同社は貴州省遵義仁懐市にある直営ホテルのマオタイ國際大酒店にマオタイアイス直営店をオープンした10日後の今月29日、同州貴陽市にも直営店をオープンして、カップアイス3種類を売り出した。
業(yè)界の枠を超えてアイスを打ち出したからには、目指すは高級路線だ。3種類のアイスのうち、2種類は66元(約1267円)、1種類は59元(約1133円)とかなり高い。高い方は文化財をかたどった「高すぎるアイス」と言われる「鍾薛高(Chicecream)」と同じ値段だ。
即時配達費用は864円 1時間で4萬個売り上げ
このアイスの配達費用もかなり高い。アイスは同社のデジタルマーケティングプラットフォーム「iマオタイ」アプリでオンライン販売もしており、3時間以內配達を選ぶと費用が1件あたり45元(約864円)かかる。このように高額ながら、マオタイアイスは同プラットフォームで売り出されると51分で完売し、4萬個以上を売り上げ、売上高は250萬元以上に達した。
同社は業(yè)界の枠を超えたアイス事業(yè)を、若者消費者層に主體的にアプローチするための最初のブレークスルーと捉えている。ネットユーザーからは、「マオタイ酒は高くて飲めないが、マオタイアイスなら節(jié)約すれば食べられる」といった聲が上がる。
直営店のオープン初日は大盛況だった。ある「90後(1990年代生まれ)」の貴陽市民は、「30分並んでやっと買えた。確かにマオタイ酒の味がする。でも値段が高いので、たまに『1杯』しか食べられない」と話した。
「マオタイアイスを食べた後で車を運転してもいいか?」も同じように注目を集める話題だ。同社の公式情報によると、マオタイアイスにはある程度のアルコール分が含まれているので、未成年者、妊婦、アルコールアレルギーがある人は食べてはいけない。車を運転する人も食べるのを控えた方がいいという。
若者消費市場を掘り起こせるか
「若者層アルコール消費報告2020」によると、「90後」と「95後(1995年から1999年生まれ)」の若者はアルコール市場にとって重要な成長の原動力だが、ニーズという観點で見ると、國産の白酒(蒸留酒、マオタイ酒もこれに含まれる)は若者が年長者や上司に季節(jié)の贈り物などをする場合の最良の選択肢となる。コンサルティング會社の獨ローランド?ベルガーがまとめたデータでは、中國では30歳以下の消費者のアルコール消費のうち、白酒が占める割合はわずか8%で、ビール、ワイン、カクテルなどの低アルコール飲料に遠く及ばないという。
各大手アルコールメーカーは若者に積極的にアプローチしようとしている。ある統(tǒng)計データによれば、2018年以來、伝統(tǒng)的白酒メーカーが200種類以上の「青春時代の若者向け小容量アルコール製品」を発売した。
同社も今後の市場に不安を覚え、若い消費層を育てるため、ここ數年はさまざまな試みを打ち出してきた。19年に「UMEET」ブランドのブルーベリークラフトワインを発売したのを皮切りに、低アルコール飲料市場に參入し、「軽めのアルコール飲料」に方向性を定めて、若い消費者を取り込もうとしてきた。21年2月には動畫「Oh It's Moutai」を公開し、ラップでマオタイをPRし、若返りの道を模索した。
食品産業(yè)アナリストの朱丹蓬さんは、「ブランドの若返りと消費層の若返りを実現することは、白酒メーカーが現在直面する最大の問題だ。一方で、アイスクリームは若者世代が最も好む商品であり、ここ數年は好調な成長の可能性を示してきた。マオタイアイスはマオタイ酒メーカーがブランドの若返りを実現するための重要な試みだ」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年5月31日