もうしばらくすると暑い夏がやってくるため、「夏の1本目のアイスクリーム」を食べる日もそう遠くないだろう。中國のSNSではここ數(shù)日、アイスクリームを購入するシーンを捉えたショート動畫が大きな話題となっている。動畫を見ると、若い男性2人が売店に行ってアイスクリームを2本買おうとすると、店の人になんと「37.5元(1元は約19.5円)」と言われたため、メンツを保つことも忘れて、別のアイスクリームを選び、値段をもう一度聞くと、今度は「45元」とさらに高くなってしまうといった內(nèi)容だ。ネット上で大人気となるアイスクリームが登場して5年目となり、新鮮味も次第になくなって、高い値段だけに注目がいくようになり、懐疑的な聲が上がるようにもなっている。
微博(ウェイボー)で「アイスクリーム」と検索すると、まず最初に出てくるホットな話題はなんと、「今のアイスクリームの値段の高さは異常」や「東北エリアのアイスクリームの安さを見てみよう」といったツッコミの嵐。そして、多くの人が、値段を気にせずにアイスクリームを買うことができていた時代を懐かしく思い出していた。
今年は第7バージョンが発売されている1本35元の玉淵潭公園の桜アイス。
夏になると、中國のネット上は各種人気アイスクリームが「競演」する舞臺となっている。
なかには具材を工夫し、花豆や緑豆といった8種類の具材が入った「八寶粥」を彷彿させる、1口で7種類の味を楽しめることを売りにするアイスクリームもある。また、外見を工夫し、中國風の扇子や瓦の形のアイスクリーム、さらには、本物のフルーツそっくりのアイスクリームなどもある。そのほかにも、プロバイオティクスやプロコラーゲン、雑穀入りといった健康路線のアイスクリーム、ダイエット志向の人に配慮した低脂肪、低糖質(zhì)を売りにしたアイスクリームなどもある。
中國の伝統(tǒng)要素を取り入れたおしゃれな國産品のトレンド「國潮」を意識した、団扇の形のアイスクリーム。値段は1本15元。
熾烈なレースが繰り広げられ、各メーカーが一歩先を走ろうと躍起になる中、ネット上で大人気となっている多くのアイスクリームが、人気定番商品や國民的ブランドとコラボ商品を打ち出すようになっている。例えば、深夜にほろ酔い気分になりたい時は、白酒(中國の蒸留酒)とコラボしたアイスクリーム、ひんやりとした甘い物が食べたいときにはオレオとのコラボアイスクリーム、受験生にうってつけの超定番問題集「五年高考三年模擬」とのコラボアイスクリームなどだ。
最終的には、美味しいものを食べたいという人々の欲求を満たす必要があるため、原材料の「內(nèi)巻(閉鎖的な環(huán)境で內(nèi)部の激しい競爭に巻き込まれる狀況)」が自然と生じることになる。ココアバター代替油脂はチョコレートに、マーガリンは牛乳やバターに、著色料や合成香料は本物のフルーツに換えられ、さらに、イタリアから輸入したアマレーナチェリーやガーナから輸入したカカオ、トルコから輸入した高品質(zhì)ヘーゼルナッツなどが売り文句になっているアイスクリームもある。「輸入」や「手作り」、「無添加」といった売り文句は、誰をも引き付ける魅力があるワードとなっている。このように安価な材料を使うのをやめて、こだわりの材料を使うようになった今のアイスクリームはすでに、多くの人にとっては手が出ない高級品となってしまっている。
高級食材や無添加などを売りにしたこだわりのアイスクリーム。
2018年は、ネット上で大人気となるアイスクリームが登場した1年目で、 真っ黒な椰子灰アイス(ヤシ?;钚蕴骏ⅴぅ梗─k売と同時に大ヒットとなった。翌2019年には、ブームに乗ったメーカーの奧雪が、目玉焼きのように「卵黃」が二つ並んだ雙黃蛋アイス(塩漬け卵味アイス)を打ち出し、後にネット上で人気のアイスクリームの代表となった「鍾薛高(Chicecream)」が頭角を現(xiàn)すようになった。値段を高く設(shè)定しても売れ、利益率が高いというのが魅力となり、より多くのメーカーがその熾烈な戦いに參戦するようになっている。例えば、乳製品メーカーの伊利が開発した高級アイスクリームブランド?須盡歓は「國潮」をメインコンセプトにし、大成功している。同じく乳製品メーカーの蒙牛が打ち出したアイスクリーム「蒂蘭聖雪」は、中流階級の女性をターゲットにしている。元々1本10元だった「夢龍(MAGNUM)」は最高級アイスクリームの代表だったが、「鍾薛高」の出現(xiàn)にともない、高級アイスクリームの値段は今、ネット上で大人気となっているお茶やドリンクと肩を並べるようになっている。
10元以下のアイスクリームを探すのは難しくなっている一線都市のコンビニ。
ネット上で大人気となるアイスクリームが登場して5年目となり、新鮮味も次第になくなって、高い値段だけに注目がいくようになり、懐疑的な聲が上がり、市場には疲弊感が漂っている。あっという間に食べ終わるアイスクリームは、蒸し暑い夏の日に憩いのひとときをもたらしてくれる存在で、こんなに高い値段で売られるべきではないはずだ。多くの人が今、値段を気にせずにアイスクリームを買う事ができた子供の頃を懐かしく思い出している。古き良き時代に駄菓子屋に行って、何も気にせずに手に取っていたアイスクリームは、1本わずか0.5元で、それで喜びと爽やかさを手に入れることができていた。どんどん高くなるばかりのアイスクリームを買う人はまだいるのだろうか?(編集KN)
「人民網(wǎng)日本語版」2022年4月27日