今年に入ってから、新型コロナウイルス感染癥の影響で、中國(guó)経済は下ぶれ圧力が増大し、多くの業(yè)界や企業(yè)が大きな圧力を受けて、雇用情勢(shì)が非常に厳しくなった。このような大きな背景の中、インターネットを通じて単発の仕事を請(qǐng)け負(fù)う就業(yè)形態(tài)によって成り立つ経済形態(tài)「ギグエコノミー」がひそかに広がっている。

ギグエコノミー=臨時(shí)雇い？

感染癥の流行中には、微商（SNSを利用した電子商取引）と個(gè)人メディアの2業(yè)界が突然、非常に人気の高い分野になった。短期的に仕事に復(fù)帰できない多くの人々が、副業(yè)を開(kāi)拓する道を歩むようになったのだ。

実際には、ギグエコノミーは昔からある。世界経済フォーラムの報(bào)告によれば、人々の仕事をつなぐデジタル形態(tài)は新しいが、単発で仕事を請(qǐng)け負(fù)う就業(yè)形態(tài)自體は決して目新しいものではない。ジャズ奏者でもコンサルタントでも、イラストレーターでも、あらゆる分野において継続期間が不確定な仕事はすべて単発の就業(yè)形態(tài)と呼ぶことができる。単発の就業(yè)形態(tài)は雇用が柔軟で、時(shí)間を自分でコントロールでき、決まった雇用主がいない。こうしてみると、インターネットのライブコマースから兼業(yè)のネット配車(chē)事業(yè)、客員の講師からアウトソーシングのコードを編集するプログラマー、軽食の屋臺(tái)オーナーから時(shí)給や日給で働く労働者まで、ギグエコノミーのカバー範(fàn)囲は確かに広く、規(guī)模の大きさは軽視できない。

ギグエコノミーの本質(zhì)は短期的な労働形態(tài)というところにある。これまで長(zhǎng)い間、多くの人の認(rèn)識(shí)では、「単発で請(qǐng)け負(fù)う仕事」はレベルが低く、収入が低く、保障がない仕事の代名詞だった。しかし現(xiàn)在提唱されているギグエコノミーは単に「単発で仕事を請(qǐng)け負(fù)う」のではなく、個(gè)人の技能や知識(shí)の交換であり、空いている時(shí)間を利用して、他人の問(wèn)題解決を手助けし、そこから報(bào)酬を得るというのが本質(zhì)だ。また一部の企業(yè)では、コストを節(jié)約するために弾力的な求人スタイルを選択し、會(huì)社の人的資本をぎりぎりまで削るというケースもある。

インターネットが急速に普及してギグエコノミーに極めて大きな発展の可能性をもたらした。モバイルインターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、モノのインターネット（IoT）、プラットフォーム経済、共有経済などの新経済（ニューエコノミー）、新産業(yè)、新業(yè)態(tài)が急速に発展して、大量の新たな雇用機(jī)會(huì)を生み出し、ギグエコノミーの普及が可能になった。知識(shí)?技能共有型の「スラッシャー」（複數(shù)の肩書(shū)を持つ人）から、各業(yè)者のO2O（オンラインツーオフライン）プラットフォームでのデリバリー配達(dá)員まで、こうした人々は新しい雇用モデルの中で登場(chǎng)したギグエコノミーの一例だ。また中國(guó)雇用研修技術(shù)指導(dǎo)センターがこのほど発表した「発表予定の新職業(yè)の情報(bào)の公示に関する公告」には、インターネットマーケティング擔(dān)當(dāng)者やバイオリン?オンラインレッスン指導(dǎo)者などの職業(yè)があり、これもギグエコノミーの範(fàn)疇に入る。

ギグエコノミーが新たな雇用チャンスを

科學(xué)技術(shù)プラットフォームの発展、仕事に対する考え方の変化、消費(fèi)スタイルの多様化といった要因の後押しを受けて、近年はギグエコノミーが急速に発展している。2017年に米國(guó)で行われた調(diào)査によれば、ギグエコノミーに従事する人は労働者人口の35％前後を占め、米國(guó)経済への寄與は毎年約1兆4千億ドル（1ドルは約107.5円）に達(dá)し、27年には労働者人口の半數(shù)以上を占めると予想される。こうした人々の中には、単発で請(qǐng)け負(fù)う仕事で収入を補(bǔ)う人もいれば、それが主な収入という人もいる。肉體労働など低収入の仕事をする人もいれば、クリエイティブな仕事やコンサルティングなど高収入の仕事をする人もいる。

米國(guó)では、學(xué)校を卒業(yè)した人が働く場(chǎng)所では単発で請(qǐng)け負(fù)う仕事が約30-40％を占めており、そうした攜帯で仕事をする人たちの中には、顧問(wèn)やフリーの請(qǐng)負(fù)人、フリーランサー、兼業(yè)労働者、臨時(shí)雇いの労働者などがいる。このような経済の中、一時(shí)的な労働者の増加率は従來(lái)型のフルタイム労働者を上回り、今後も引き続き増加する見(jiàn)込みだ。最近の情報(bào)の指摘によると、グーグル社員の大部分はフリーの社員と臨時(shí)の社員で、フルタイムの社員ではないという。

注目されるのは、企業(yè)の運(yùn)営スタイルの変化により単発で仕事を請(qǐng)け負(fù)う労働者のニーズが増加したことだ。これまで多くの企業(yè)が長(zhǎng)期雇用スタイルを選択していたのは、長(zhǎng)期雇用の労働者は企業(yè)の文化や製品、サービス、業(yè)務(wù)プロセスをより熟知し、仕事の効率がより高くなると考えられていたからで、製造業(yè)を含む多くの従來(lái)型業(yè)界がこの雇用スタイルの特徴に合致していた。しかし研究者が指摘するように、従來(lái)型の職業(yè)スタイルは工業(yè)化時(shí)代のニーズに合わせて設(shè)計(jì)されたもので、知的労働ではプロジェクト式の方がマッチする。今やプロジェクト式が多くの企業(yè)の管理スタイルとなった。これには企業(yè)內(nèi)部で異なる部門(mén)から社員を選んでプロジェクトチームを結(jié)成するというやり方もあれば、外から専門(mén)的人材をより多く、短期的に引き入れるというやり方もある。こうすることで人件費(fèi)を節(jié)約できるだけでなく、より大きな競(jìng)爭(zhēng)環(huán)境の中で適切な人材を見(jiàn)つけることができ、企業(yè)がめまぐるしく変化するビジネス環(huán)境に追いつくようサポートすることになる。

雇用の補(bǔ)完から広大なブルーオーシャンへ

ギグエコノミーは社會(huì)の「毛細(xì)血管」に「血液」を注ぎ込んだ。ギグエコノミーの登場(chǎng)は、人々が労働報(bào)酬を得るルートを広げるのを後押ししただけでなく、雇用を促進(jìn)し國(guó)民生活を安定させる有益なルートにもなった。20年にある機(jī)関がまとめた研究報(bào)告では、36年には中國(guó)でギグエコノミーに従事するフリーランサーが4億人に達(dá)すると予想されている。現(xiàn)在のさまざまな取り組みの中で雇用の促進(jìn)が最も重視される環(huán)境にあって、奨勵(lì)政策によってこうした多様化した雇用スタイルを奨勵(lì)することは、雇用の基本面を安定させ、雇用を拡大する重要な方法でもある。

ギグエコノミーは雇用を補(bǔ)完するために必要なだけでなく、企業(yè)の発展の強(qiáng)力な後押しにもなる。業(yè)務(wù)拡大の中で新たな人材ニーズが生まれた雇用主の中には、ギグエコノミーのほうがいい選択になるところもあるだろう。

こうした新しい雇用形態(tài)では、誰(shuí)もが受益者だと言えるだろう。雇用機(jī)関にとって、ギグエコノミーは人件費(fèi)とリスクを最大限軽減することができ、仕事の効率を向上させることができる。ギグエコノミーに従事する大勢(shì)の労働者にとっては、才能、効率と収入との交換を?qū)g現(xiàn)できるだけでなく、さまざまな仕事の兼業(yè)が可能になり、より多くの収入を得て、自由に使える時(shí)間をより多くもてるようになる。ギグエコノミーによって、社會(huì)全體の労働力が活かされていないケースや浪費(fèi)されるケースを少なくすることができ、決まった仕事がない人や一時(shí)的に失業(yè)している人に雇用ルートを提供することができ、一部の雇用主は新たな人材ニーズを見(jiàn)いだし、新たな発展ルートを見(jiàn)つけることもできる。このように「みんなに利益がある」ことから、ギグエコノミーは急速に成長(zhǎng)し、雇用の新トレンドになった。

しかし、ギグエコノミーは登場(chǎng)してからそれほど時(shí)間が経っておらず、制度やメカニズムの保障という點(diǎn)では一層の向上が必要だ。習(xí)近平総書(shū)記は23日に行われた中國(guó)人民政治協(xié)商會(huì)議経済界委員合同グループ會(huì)議で、関係委員による「新雇用形態(tài)」についての発言を聴取した後、「今最も突出しているのは、『新雇用形態(tài)』労働者の法的保障の問(wèn)題、消費(fèi)者の合法的権利をしっかり保護(hù)する問(wèn)題などだ。速やかに追跡?検討し、法律の不足點(diǎn)を補(bǔ)い、変化の中で絶えず改善する必要がある」と強(qiáng)調(diào)した。

ギグエコノミーの推進(jìn)は新たな時(shí)期に直面する新たなチャンスだ。企業(yè)と個(gè)人がこのプロセスでいかに観念を転換させ、絶えず刷新し、よりよい発展のルートを見(jiàn)つけるか。また、関連當(dāng)局が適度な柔軟性を備えた実効性ある保障制度を速やかに打ち出せるかどうかが、ギグエコノミーが良好な発展を達(dá)成するためのカギになる。（人民網(wǎng)日本語(yǔ)版論説員）