上海市靜安區(qū)石門二路156番に、「北京百貨商店」がある。コンビニエンスストアの影響を受けながらも、60年以上続くこの老舗商店は変わらず人々の住まいのすぐ近くにあり続けた。売るものといえば、上海っ子たちの記憶の中にある「懐かしの商品」だ。
この店に入ると、狹くて長い通路の両側(cè)にオールド上海を彷彿とさせる商品が數(shù)多く並んでいる。店內(nèi)にいたベテラン店員によると、「この店の定番商品は、『蛤蜊油』(ハマグリの殻を容器にしたクリーム)や尿素クリーム、張小泉のハサミ、蜂花の檀香せっけん?厚手のメリヤス製シャツとズボン下などのほか、『フェイクの襟』もある」。冬に入ってからというもの、この店を訪れる買物客は後を絶たないという。
「フェイクの襟」と言っても襟自體は本物で、シャツの襟と身頃の上部だけを殘し、袖や身頃の下の部分はない。オープンネックのセーターやウールセーターの中に著用して、襟の部分をセーターの外側(cè)に出すと、中にシャツなどを著ているように見え、布地の節(jié)約にもなるし、しゃれた感じにもなる。
この「賢い著こなし」は、1970年代から1980年代に一世を風(fēng)靡。今でも、上海に住む多くの高齢者にとって想い出深いアイテムとなっている。
そこで同店は2003年、この「フェイクの襟」の販売を始めた。発売當(dāng)初は5元から8元(1元は約18円)だった売値は、今では30~40元に上がったが、それでもずっと「売れ筋商品」となっている。
一番売れている商品はカシミアタイプで値段は40元、「北京百貨」のタグがついており、4色ある。この商品は年間約1千枚売れており、海外在住の上海出身者が人に頼んで買い求めるケースもあるという。
このほかにも、ラクダの毛の中綿入りズボン下、ダウン製ズボン下、インナーダウンなど、高齢者向けサイズの冬用衣類も、高齢者の間で人気が高い。注目すべきは、高齢者ならではのニーズに対応した配慮やデザインが施された商品もあること。たとえば、ダウン製肩ウォーマーや、腰の部分をサポートするデザインの施されたズボン、セルフヒーティングの膝サポーターなどがある。
同店は今、「中?高齢者層向けの品ぞろえ」という明確なポジショニングを打ち出している。また、同店は「上海市第一弾『愛心助老』基地」として、毎年の敬老イベント時(shí)に、身寄りのない高齢者に防寒著をプレゼントしている。(編集KM)
「人民網(wǎng)日本語版」2021年12月29日