中國の上層部で再三手配が行われ、さらには資本市場で熱心な投資が行われるなど、このところ最も世論から注目されている概念の一つは「新インフラ整備」といっていいだろう。アナリストはおしなべて、経済の下振れリスクの相殺や経済モデル転換?高度化の推進(jìn)などの面で新インフラ整備が重要な役割を果たすことを期待している。
新インフラ整備とは何か?なぜ政府から極めて重視されているのか?
先ごろ、中共中央政治局常務(wù)委員會(huì)が會(huì)議を開き、現(xiàn)在の新型コロナウイルス感染による肺炎予防?抑制と経済?社會(huì)の安定運(yùn)営のための重點(diǎn)活動(dòng)について検討した。會(huì)議では、公共衛(wèi)生サービスや緊急物資保障分野にさらに力を入れ、5Gネットワークやデータセンターなど新型インフラ建設(shè)を加速することが強(qiáng)調(diào)された。
これについて中泰証券アナリストの馮勝氏は、「このところ、中國の上層部は新インフラ整備を非常に重視しており、何度も會(huì)議を開いて手配を行っている。新インフラ整備を重視するのは、新型肺炎が中國経済に比較的大きな影響を與えている中、新インフラ整備の加速は成長と雇用の安定に役立つからというところが大きい」との見方を示した。
馮勝氏は、「従來のインフラ整備とは異なり、新インフラ整備は主に科學(xué)技術(shù)に立腳している。従來のインフラ整備は主に鉄道や道路、橋、水利工事など大規(guī)模建設(shè)を指しているが、新インフラ整備というのは科學(xué)技術(shù)に立腳したインフラ建設(shè)で、主に5G基地局建設(shè)や超高圧送電線、都市間高速鉄道や都市鉄道交通、新エネルギー車充電ポール、ビッグデータセンター、人工知能(AI)、インダストリアルインターネットの七大分野が含まれる」と指摘している。
新インフラ整備はどこが「新しい」のか?
恒大研究院院長の任沢平氏は、「『新インフラ整備』には時(shí)代が色濃く反映されている。20年前の中國経済の『新インフラ整備』が鉄道や道路、橋だとすれば、今後20年に中國の経済?社會(huì)の繁栄と発展を支える『新インフラ整備』は5GやAI、データセンター、インターネットなど科學(xué)技術(shù)イノベーション分野のインフラと、教育や醫(yī)療、社會(huì)保険など民生消費(fèi)高度化分野のインフラになるだろう」と指摘した。
「従來のインフラ整備」とは一部地域、特に人口の流出している地域においてはすでに過剰となっており、さらに投資すれば民衆(zhòng)を酷使し、財(cái)貨を浪費(fèi)することになる。當(dāng)然ながら、人口が流入する都市圏や都市群では、長期的にみれば道路や橋の建設(shè)の余地は依然として大きく、そうしなければ経済?社會(huì)の発展を制約し、交通渋滯や環(huán)境汚染などの深刻な問題を引き起こしてしまう。一方「新インフラ整備」は今後の発展を考えた際に不足する點(diǎn)だ。上記の分野は短期的な有効需求の刺激と長期的な有効供給の増加の両面に配慮した最適な結(jié)合點(diǎn)であり、中國経済が「中所得國の罠」を回避し、質(zhì)の高い発展と革新的発展へと邁進(jìn)するための重要な國家的プロジェクトとなる?!感楼ぅ螗榨檎麄洹工闲滦庭偿恁圣Εぅ毳垢腥緬埓螭冉U済の下振れ圧力に対応するための有効な政策手段であるだけでなく、さらには中米貿(mào)易摩擦を背景とした大國間競爭と改革?革新の切り札であり、中華民族の偉大な復(fù)興という國運(yùn)をかけた戦いにおいて勝敗の決め手となる。
新インフラ整備をすれば「成長安定」の重任を擔(dān)えるのか?
注意すべきは、現(xiàn)在中國の新インフラ整備規(guī)模はまだ小さすぎ、新インフラ整備への投資増加だけでは、経済に対し大きな牽引的役割は起こすことは難しく、新インフラ整備と従來のインフラ整備への投資を合理的に統(tǒng)一計(jì)畫すべきだと注意を喚起するアナリストもいる點(diǎn)だ。國泰君安研究所チーフグローバルエコノミストの花長春氏は、「中國の新インフラ整備は、発展の將來性はあるが、現(xiàn)在の規(guī)模は依然として小さすぎ、成長安定効果は小さいと予想される」と指摘する。
花氏の分析によると、中國政府のインフラ整備投資のうち、現(xiàn)在はまだ新インフラ整備投資に関する統(tǒng)計(jì)はないが、PPP(Public Private Partnership)として登録されている細(xì)分化プロジェクトからうかがい知ることとは可能だという?,F(xiàn)在進(jìn)行中のPPPプロジェクトの総投資規(guī)模はおよそ17兆6千億元(1元は約15.24円)で、そのうち従來のインフラ整備が主要部分を占める。一方、「新インフラ整備」プロジェクトをすべて計(jì)算に入れても、その割合は15%未満で、規(guī)模は3兆元に及ばず、現(xiàn)在の中國の経済規(guī)模から見てその牽引効果は限定的だ。中國は「従來のインフラ整備+新インフラ整備」という両輪駆動(dòng)の形で、経済回復(fù)とモデル転換?高度化を推進(jìn)していくと予想される。
これについて海通証券チーフエコノミストの姜超亦氏も同様の見方を示している。姜超氏はさらに一歩進(jìn)んで、「新型インフラは従來のインフラ整備の拡張というところが大きく、成長安定とイノベーション促進(jìn)という二重の任務(wù)に配慮している。AIやインダストリアルインターネット、モノのインターネット(IoT)など新型インフラ建設(shè)は、通信やコンピューター、エレクトロニクスなど関連業(yè)界の製品需要を牽引するだろう。こうした新型インフラは製造業(yè)のモデル転換と高度化のカギであり、同時(shí)により多くの新規(guī)需要を喚起することもできる」と指摘する。
証券會(huì)社は七大新インフラ整備をどう見ているか?
5G
【東方証券】國內(nèi)の5G構(gòu)築の進(jìn)度は市場の予想を上回ることが見込まれる?,F(xiàn)在、三大通信事業(yè)者は年間で基地局を55萬基建設(shè)する計(jì)畫だが、年間の建設(shè)進(jìn)度は計(jì)畫より早まる可能性がある。
超高圧送電線
【銀河証券】2018年9月に國家エネルギー局が通達(dá)した「一部送変電重點(diǎn)プロジェクト計(jì)畫建設(shè)作業(yè)の推進(jìn)加速に関する通知」によると、計(jì)12本の超高圧工事が計(jì)畫されている。1本の超高圧送電線で約200億元の投資が必要として推算すると、年內(nèi)に新たに許認(rèn)可される7本の超高圧送電線は約1500億元の市場成長余地をもたらすかもしれない。
都市鉄道交通
【中銀國際】2019年末、全國計(jì)40都市で都市間鉄道路線が開通し、営業(yè)が開始された距離は累計(jì)6730.27キロに達(dá)した?,F(xiàn)在、中國マクロ経済の下振れ圧力が強(qiáng)まっている中で、都市間鉄道インフラ整備投資は経済安定の利器の一つであり、今後も力を入れることが見込まれる。2020年の年間営業(yè)開始距離は1千キロを突破することが期待される。
EV用充電ポール
【新時(shí)代証券】新エネルギー車の保有臺(tái)數(shù)は2千萬臺(tái)で、車両と充電ポールの比率を1対1として推計(jì)すると、必要となる充電ポール數(shù)は約1880萬基という計(jì)算になる。交流ポールと直流ポールの価格差が大きいため、充電ポールの平均価格を1臺(tái)あたり1萬5千元として計(jì)算すると、対応する充電設(shè)備市場の余地は約2800億元となる。車両1臺(tái)あたりの年間電気消費(fèi)量を2千kwhとして推算すると、充電?サービス市場は約400億元規(guī)模となるだろう。
ビッグデータセンター
【平安証券】データセンターは明らかにトラフィック急増の恩恵を受けており、業(yè)界の景気は好調(diào)だ。地域別でみると、北京?上海?深センは政策的な制限があるため成長の余地に限りがあるが、周辺の省?直轄市のデータセンター新規(guī)設(shè)立や拡張に対する投資ニーズは明らかに高まっている。また、環(huán)境が適し、電気代が安く、土地資源が十分にある西北部や西南部などでは、データセンター數(shù)の面でも比較的大きな成長のポテンシャルがある。
AI
【新時(shí)代証券】AIは技術(shù)?ビジネスシーンでの応用ニーズが高まっており、産業(yè)規(guī)模が引き続き成長するだろう。産業(yè)研究院の展望予測によると、2020年の中國のAI市場規(guī)模は45%成長し、世界市場規(guī)模の成長レベルをはるかに上回ることが予想される。
インダストリアルインターネット
【平安証券】インダストリアルインターネットは基幹ネットワーク、プラットフォーム、安全保障體系で構(gòu)成され、そのうちプラットフォームが核心となる?!?G+インダストリアルインターネット」が投資の重點(diǎn)になると予想される。
【平安証券アナリストの閻磊氏】中長期的に見て、中國企業(yè)が「クラウド化?デジタル化する趨勢を押しとどめることはできず、今回の感染拡大を経て、その進(jìn)度はさらに加速するだろう。5Gやインダストリアルインターネット、クラウドコンピューティングはデジタル経済の主要インフラであり、技術(shù)と資金が許す範(fàn)囲內(nèi)で、適度に先行投資をすることは可能だ。インフラを通じて応用の繁栄を牽引し、エコシステムが健全化した後に引き続きインフラ建設(shè)への投資を牽引し、良性のクローズドループを作り上げる。特に現(xiàn)在の大國による科學(xué)技術(shù)競爭という背景のもとで、新インフラ整備分野に力を入れることは、先進(jìn)國との発展格差を縮めるうえでプラスになる」としている。(人民網(wǎng)日本語版論説員)
「人民網(wǎng)日本語版」2020年3月9日