中國では新型コロナウイルスによる感染癥が収束に向かう中、「リベンジ的消費(fèi)」のピークに先だって、「リベンジ的貯蓄」がやって來る気配だ。

消費(fèi)か貯蓄か？

中國人民銀行（中央銀行）がまとめたデータによると、今年第1四半期には、全國の個(gè)人の貯蓄が6兆4700億元（1元は約15.1円）増加し、前年同期比では4千億元増加した。1日あたり平均700億元以上増加したことになる。

西南財(cái)経大學(xué)とアント?フィナンシャルのアント金融サービス研究院がこのほど共同で発表した「感染癥の中の中國家計(jì)資産変動(dòng)情勢——中國家計(jì)資産指數(shù)調(diào)査研究報(bào)告（2020年第1四半期）」によると、家計(jì)資産について答えた世帯のうち、「貯蓄が増加し消費(fèi)が減少する」と答えた世帯が50.2％に上り、「現(xiàn)在の狀況が続き基本的に変化なし」は40.4％だったのに対し、「貯蓄が減少し消費(fèi)が増加する」は9.4％にとどまった。

また支付寶（アリペイ）のデータをみると、今年第1四半期（1-3月）には、アリペイのオンライン金融商品「余額寶」（ユエバオ）とクレジットサービス「花唄」（ホワベイ）を同時(shí)に利用した人は前年第4四半期（10-12月）に比べて40％増と大幅に増加した。クレジットサービスによる1ヶ月間の返済猶予期間を利用して差額相當(dāng)分を収益にすることを、多くの若者が選択した。天弘基金の余額寶の最新の四半期データをみると、同期の純資産殘高は前年末に比べて15.08％増加している。

西南財(cái)経大學(xué)中國家庭金融調(diào)査?研究センター（CHFS）の甘犂センター長は、「第1四半期に貯蓄が増加した背景には、世帯の貯蓄志向が高まり続けたことがあり、半分以上の世帯が貯蓄を増やして消費(fèi)を減らした。未來の不確実性が世帯を貯蓄により向かわせ、消費(fèi)に向かわせなかった」と分析した。

感染癥の中の新たな消費(fèi)習(xí)慣と資産配分方式

このたびの感染癥により、人々は生きていくために十分なお金を準(zhǔn)備して、思いがけない出費(fèi)に備えることの重要性を強(qiáng)く意識(shí)した。感染癥の流行中には「月光族」（毎月の給料をその月にすべて使い果たす人）や銀行の消費(fèi)者ローンに頼って暮らしていた人はこれまでに経験したことのないようなプレッシャーを感じた。それと同時(shí)に、多くの人が銀行預(yù)金を改めて重視するようになり、「一番強(qiáng)いのは現(xiàn)金」という道理を十分にかみしめ、それにより第1四半期の個(gè)人貯蓄が効果的に引き上げられることになった。

同報(bào)告は、「感染癥は世帯の消費(fèi)習(xí)慣と消費(fèi)スタイルを変え、家計(jì)資産の配分の仕方も変えることになった」と指摘した。

消費(fèi)スタイルについて、調(diào)査によると、感染癥はオンライン消費(fèi)の急発展をもたらし、今後も増加を続ける見込みであり、デジタル経済は新たな発展段階に入ったという。國家統(tǒng)計(jì)局のデータでは、今年1-2月には、社會(huì)消費(fèi)財(cái)小売総額が減少したが、実物商品のオンライン売上高は前年同期比3％増を達(dá)成した。世帯の消費(fèi)は単純なオンラインショッピングからオンラインサービス消費(fèi)へと転換し、デジタル経済が新たな発展段階に突入した。調(diào)査によると、オンライン投資、オンラインショッピング、オンライン診療、オンライン教育の購入意欲では、家庭のオンライン教育の購入意欲指數(shù)が最も高く122.9に達(dá)した。次はオンライン診療の112.3％で、オンライン投資は105.8、オンラインショッピングは109.7だった。ここから世帯でオンライン消費(fèi)とオンライン投資への意欲がますます高まり、世帯のオンライン消費(fèi)がオンラインショッピングからオンラインサービス消費(fèi)へと徐々に変化していることがわかる。

これと同時(shí)に、若い世帯は消費(fèi)ニーズが旺盛で、消費(fèi)のポテンシャルも非常に大きい。CHFSのまとめたデータでは、2013-19年に若い世?。ㄊ缼≈鳏?0-40歳の世帯）の平均消費(fèi)額の複合年間成長率は平均12.0％に達(dá)し、全體平均の8.7％を大きく上回った。また若い層は自動(dòng)車、醫(yī)療、教育などで消費(fèi)者ローンのニーズが十分に満たされていない。

家計(jì)資産の配置では、感染癥により世帯が貯蓄をより重視するようになったため、資産配置における貯蓄のニーズが増加した。また世帯のリスク管理意識(shí)も強(qiáng)まり、リスクが中?低レベルの投資商品や保険商品の人気が高まった。投資方法もさらに多様化し、オンライン資産運(yùn)用のニーズが増大した。

「リベンジ的貯蓄」が「リベンジ的消費(fèi)」に転換するか？

同報(bào)告によると、今年第1四半期には中?低所得層とフリーランスが仕事の安定性と収入という點(diǎn)で感染癥の影響を強(qiáng)く受け、今後の見通しも楽観できないことから、「リベンジ的消費(fèi)」が出現(xiàn)する可能性は高くないという。また未來の予測では、大半の世帯が経済回復(fù)に楽観的な見方を示し、「今後6ヶ月以內(nèi)に経済は回復(fù)する」とした世帯が58.4％に上った。こうした楽観的ムードは中國が短期間で感染癥を抑制し、政府に対する國民の信頼感が高まったことが背景にあるという。

中國光大銀行金融市場部の周茂華マクロアナリストは、「住民に埋め合わせ的消費(fèi)という反動(dòng)が起こる可能性がある。これは主に中國國內(nèi)の雇用市場が基本的に安定し、個(gè)人の貯蓄が大幅に増加し、國內(nèi)の感染癥対策が段階的な成果を収めたことの現(xiàn)れだ」との見方を示した。

しかし周氏は次のようにも述べた?！付唐诘膜恕亥辚佶螗傅南M(fèi)』が起こる可能性は低く、これは一方では世界の感染狀況がまだターニングポイントを迎えていないこと、中國國內(nèi)の感染対策はまだ緩めてよい段階にきていないこと、そのため個(gè)人の消費(fèi)活動(dòng)には引き続き制約があるためだ。また一方では海外で感染が拡大し、グローバル経済の見通しの不確実性が上昇し、中國の消費(fèi)者心理に一定のマイナス影響を與えているためだ。リベンジ的消費(fèi)が來るかどうかはわからない。埋め合わせ的消費(fèi)は遅かれ早かれやって來るだろう」。

貯蓄が増えるのは、結(jié)局よいことか悪いことか？

貯蓄が多いことは高貯蓄とも言う。高貯蓄はより多くの資金を保有し、投資に回して経済成長を牽引できることを意味する。非常に大きなポテンシャルだ。

高貯蓄は、短期的に消費(fèi)を喚起して経済復(fù)興をバックアップするのが難しいということも意味する。もちろん、今は一時(shí)的な困難に対してやむを得ないという面がより強(qiáng)い。

専門家は、「感染癥が収束するに向かうにつれ、國民の経済見通しへの信頼感が回復(fù)し、人々は消費(fèi)や投資をするようになるだろう。よって、今後は企業(yè)の貯蓄の伸びが回復(fù)し、個(gè)人の貯蓄はある程度減少することが予想される」との見方を示した。

注意しなければならないのは、感染癥の試練を経たことで、人々の資産運(yùn)用への意欲や貯蓄への意欲が喚起される可能性があることだ、特に感染癥からの回復(fù)期において可能性が高まる。これからどのような狀況が続くのか、今はまだはっきりとわからない。これから多くの人が消費(fèi)を抑え、貯蓄を強(qiáng)化する道を選ぶとみられる。（人民網(wǎng)日本語版論説員）