2022年9月29日、中日國交正常化50周年を迎えた。この記念すべき日に、NPO法人日中青年學(xué)生友好協(xié)會が設(shè)立された。この協(xié)會の設(shè)立に盡力したのは、日本で暮らし、働いている中國の若者たちだ。この3人の若者は自発的に中日両國の學(xué)生をサポートし、相互理解を深める活動を行う過程で知り合った。協(xié)會の設(shè)立は、彼らが進(jìn)む道の新たな出発點となっている。
この3人の若者の名は、江蘇省南京市出身の陳佳嶸さん、上海市出身の李顥淳さん、そして江蘇省揚(yáng)州市出身の姜伝超さんだ。
NPO法人日中青年學(xué)生友好協(xié)會の今後について話し合う陳佳嶸さん、李顥淳さん、姜伝超さん（寫真左から、スクリーンショット）。
青年學(xué)生交流の意義を感じ、積極的かつ自発的に活動を組織
陳佳嶸さんは高校卒業(yè)後、早稲田大學(xué)に留學(xué)するため來日した。陳さんが中日青年學(xué)生交流活動に攜わる最初のきっかけは、一つには周りの多くの留學(xué)生が様々な困難に直面しているのを見聞きしたからだったという。例えば日本では部屋を借りる際、連帯保証人が必要という日本ならではの手続き上の習(xí)慣があるが、來日したばかりの留學(xué)生は右も左もわからず、途方に暮れてしまうケースがほとんどだ。こうした狀況を目にした陳さんは、中國人留學(xué)生向けの賃貸物件を取り扱う不動産會社の情報をまとめ上げた。そしてこれが彼の留學(xué)生に対する支援活動の第一歩となった。
また日本人學(xué)生との交流も重視していた陳さんは、頻繁に中國人留學(xué)生と日本人學(xué)生を集めて登山やスキー等のイベントを企畫し、積極的に文化交流活動にも參加して、日本人學(xué)生と歴史や文化に関して交流や意見交換も進(jìn)んで行った。
こうした活動を経験していく中で、陳さんにとってとても感慨深かった出來事が1つあったという。それはある年、中國に帰省する際、日本人學(xué)生4人を誘って一緒に中國を旅行した時のことだった。
陳さんはこの日本人學(xué)生たちとは日本にいた時も歴史問題についての議論を交わしていた。そして彼は中日両國の學(xué)生は教科書や報道で接する情報に差異はあるものの、大多數(shù)の日本人學(xué)生は獨立した考えを抱いており、教科書や報道を鵜吞みにすることなく、それらに対して疑念を抱く態(tài)度で接していると感じた。そこで一つの試みとして、その日本人學(xué)生4人を南京市にある中國侵略日本軍南京大虐殺遭難同胞紀(jì)念館に連れて行ったという。彼らが紀(jì)念館に対しネガティブな感情を抱くことを當(dāng)初は懸念していた陳さんだったが、予想に反し、日本人學(xué)生たちは3時間以上をかけて真剣に展示資料を見學(xué)したという。展示品の中には當(dāng)時の日本の新聞もあり、彼らはそうした展示品をじっくり見學(xué)しただけでなく、これらの新聞に関する知識や、日本の教科書で學(xué)び得た知識との比較もしていたという。そして紀(jì)念館の見學(xué)を終えた後、彼らは陳さんに対し、この時代の歴史に対して新たな認(rèn)識を抱くことができた非常に貴重な體験だったとした。
この出來事をきっかけに、陳さんは中日両國の學(xué)生は書籍で知り得た知識を超越したより豊かな、より深い交流をすることができ、何よりも直接觸れ合う交流は互いにより多くの情報を得ることができると感じたという。そしてそれ以降、彼はより積極的に中日青年學(xué)生交流活動を組織するようになった。その努力の甲斐あって、より多くの日本人學(xué)生が活動への參加を通じて、中國語を?qū)Wび、中國文化を理解し、中日學(xué)生間の相互方向での交流を?qū)g現(xiàn)した。
NPO法人の活動體験を通じて、蘇州大學(xué)日本連絡(luò)事務(wù)所の設(shè)立を推進(jìn)
李顥淳さんは來日した後、群馬大學(xué)に入學(xué)し、留學(xué)生活を送った。同大學(xué)は日本各地に設(shè)けられている國立大學(xué)の1つで、首都圏からは離れているため、外國人も比較的少なく、地元の人々が外國人と接する機(jī)會もそれほど多くない。しかし、日常的なふれあいを通じて、地元の日本人は中國人留學(xué)生に非常に好意的だと感じたという。特に地元のNPO法人や友好交流団體は、留學(xué)生のサポートだけでなく、中日文化交流活動をしばしば催し、地元住民の中國への理解を深める活動をしていた。そうした體験を通じて、李さんはNPO法人に対する理解を深め、それがその後の日中青年學(xué)生友好協(xié)會設(shè)立のための貴重な経験となった。
大學(xué)卒業(yè)後、李さんは日本に殘り、ある不動産管理會社に就職。そして仕事以外の時間を利用して、中日青年交流活動を促進(jìn)する活動を展開していった。それから數(shù)年後、彼は姜伝超さんと出會うことになる。
姜伝超さんは江蘇省蘇州市にある蘇州大學(xué)の対外交流プロジェクトを通じて日本に短期留學(xué)。大學(xué)を卒業(yè)すると、再び日本に渡り、李さんが働く企業(yè)に彼も就職した。そして李さんの勧めで、姜さんも中日青年學(xué)生交流活動に興味を抱くようになったという。
2019年の終わりに姜さんは蘇州大學(xué)を訪問し、母校と日本の交流をサポートをしたいと申し出た。そして2020年1月初旬に、蘇州大學(xué)代表団が日本を訪問。姜さんが仲介役となり、代表団は彼の勤める企業(yè)を訪問し、高橋幸一郎社長と意見交流を行い、共同で蘇州大學(xué)日本連絡(luò)事務(wù)所を設(shè)立する覚書を結(jié)んだ。
株式會社KACHIAL社長高橋幸一郎さん（寫真左）と東京で會談した蘇州大學(xué)副學(xué)長（當(dāng)時、現(xiàn)學(xué)長）の張暁宏さん（寫真右、寫真提供?姜伝超さん）。
連絡(luò)事務(wù)所が設(shè)立されて間もなく新型コロナウイルス感染癥が流行し、留學(xué)生の派遣を含めた多くの業(yè)務(wù)をストップせざるを得ない狀況に追い込まれたが、李さんと姜さんは可能な範(fàn)囲で交流活動を続けるための方法を考え続けた。そして彼らは金沢大學(xué)や東京學(xué)蕓大學(xué)、開智國際大學(xué)などを訪問し、コロナ後に蘇州大學(xué)と相互に留學(xué)生を迎え入れる件などに関しての検討を進(jìn)めていった。またその一方で、コロナが原因で、國を跨いで移動することができない狀況下で、日本に留學(xué)している蘇州大學(xué)の學(xué)生や、蘇州大學(xué)に留學(xué)している日本人學(xué)生の支援を始めた。コロナが原因で長期にわたり日本に留學(xué)中の子供に會えず不安を抱える中國の保護(hù)者のために、連絡(luò)事務(wù)所はそうした中國人留學(xué)生たちを訪ね、保護(hù)者達(dá)に近況報告を行った。また中國に留學(xué)している子供に長期にわたり會いに行くことができない日本の保護(hù)者に対しては、連絡(luò)事務(wù)所が関連する情報をまとめ、蘇州大學(xué)の関連當(dāng)局に依頼して、サポートを委託するといった対応を行ったこともあったという。
理解と支持を得て 青年學(xué)生交流活動の範(fàn)囲を拡大
高橋社長の協(xié)力を仰ぎ、日本に蘇州大學(xué)日本連絡(luò)事務(wù)所を設(shè)立した動機(jī)は、母校に対する恩返しだけでなく、むしろ李さんと姜さんの自らの體験によるところが大きかった。姜さんは、初めて日本にやってきた留學(xué)生が短期間のうちに日本社會を理解するには、情報収集が不可欠であり、現(xiàn)地での勉強(qiáng)と生活に適応することは極めて困難であることから、プラットフォームを組織して彼らをサポートする必要があると考えたからだ。
また李さんと姜さんが高橋社長の支持を取り付けることができたのは、一つには高橋社長が2人の行う公益活動の精神に感動したからで、もう一つは高橋社長自身の経験と思いからくるものだった。
高橋社長は16歳の時に米國に留學(xué)しており、外國人が現(xiàn)地社會に適応することは必ずしも容易ではないということを自身の経験から理解していた。そして日本という単一民族社會においては中國人留學(xué)生はさらに多くの困難に見舞われているだろうという考えから、李さんと姜さんが留學(xué)生をサポートする行動に共感を覚えたという。
また米國での自身の経験から、高橋社長は、外部からの情報の影響を受けることで、人間の価値観形成の過程において、徐々にその先入観にとらわれていくことになるとしている。他人を理解するにあたり、まずその人がどこの國の人かということで判斷するということに対し、高橋社長は、「これは紛れもない悲しい事実」だとしている。そのため高橋社長は、そうした先入観がまだ形成されていない若い時期に、より多くの國々の若者たちと交流し、相互理解を深めることが非常に重要であると考えている。
同時に中日両國の関係に関しても、高橋社長は両國はアジアの重要な隣國で、ボーダーレスな関係を築くべきだと考えている。そうした関係を?qū)g現(xiàn)するためには、両國の青年と學(xué)生がより互いの國を理解し、未來に向かって優(yōu)れた「土壌」を築くことが求められる。そして中日両國の青年と學(xué)生への支援を通して、両國の更なる文化交流と教育の発展を推し進(jìn)めることで、両國経済の発展にも寄與することを高橋社長は期待している。
こうした高橋社長の積極的な支持を受け、李さんと姜さん、陳さんは出會い、同じ志を持つ者として心を通じ合わせ、自発的に組織して、より幅広い中日青年學(xué)生交流を展開することに目を向け始めた。
自らの留學(xué)経験を踏まえて、彼らは3人とも留學(xué)生支援の拡大は先ず首都圏以外で行うべきだと考えた。そこで日本の地方にある大學(xué)を訪問し、より多くの大學(xué)と中國の大學(xué)との交換留學(xué)プログラム等を展開するように働きかけていく一方で、彼らは各地の中日友好交流組織にも積極的に連絡(luò)をとった。群馬県や石川県、埼玉県、愛知県等の日中友好協(xié)會と連攜してスピーチコンテストの開催や中國文化講座の開講、中日學(xué)生オンライン座談會の開催といった活動を検討していった。
コロナの影響で多くのアイデアをすぐに実現(xiàn)することはできなかったが、3人の若者たちは可能な範(fàn)囲で弛まぬ努力を続け、活動を続けていった。
3年の努力実り、日中青年學(xué)生友好協(xié)會を設(shè)立
3人の活動の規(guī)模が拡大するのに伴い、陳さんと李さん、姜さんは今後の活動を展開していく上で、正式な組織を立ち上げる必要があると感じるようになっていった。そしてこれまでの経験と、継続し続けてきた學(xué)びや模索を通じて、NPO法人を設(shè)立させることを正式に決めた。
2022年9月29日、3年近くにわたる努力の結(jié)果、NPO法人日中青年學(xué)生友好協(xié)會が正式に設(shè)立された。
新たな中日青年學(xué)生友好事業(yè)を立ち上げた中國の3人の若者、李顥淳さん、陳佳嶸さん、姜伝超さん（寫真左から、スクリーンショット）。
李さんは協(xié)會の設(shè)立日について、「9月29日を協(xié)會設(shè)立日に選んだのは、ちょうど50年前のこの日、中日國交正常化が実現(xiàn)したから。この記念すべき日に、協(xié)會は中日友好のバトンを繋ぎ、中日両國の學(xué)生の留學(xué)サポートを行い、両國の學(xué)生の友好と交流を深めることを自分たちの務(wù)めとして、次の50年の中日関係の発展に貢獻(xiàn)したい」とした。
人脈など各方面で最大のサポートができるよう、高橋社長が自ら協(xié)會の理事長に就任。そして今後さらに多くの大學(xué)及び教育機(jī)関が協(xié)會の活動に加わるよう推し進(jìn)めていくことで、より多くの中國人留學(xué)生を受け入れることができる優(yōu)れた「土壌」を作り、中日両國の青年と學(xué)生が交流できる機(jī)會をより多く作り出し、互いの誤解を解き、理解を深められるようにしたいとした。そして高橋社長は、「中日青年間の交流において、まずは、良好な個人的関係を築くためのサポートを誰かが行う必要があり、その上で両國の発展を良い方向へ推し進(jìn)めていきたい」と語った。
「人民網(wǎng)日本語版」2022年12月30日
