ご當地料理を食べるために旅行に行くというのが今、中國のZ世代(1995年~2009年生まれの若者たち)の間で人気の旅行スタイルとなっている。例えば、螺螄粉(タニシ麺)が大人気となり、中國西南部にある工業(yè)都市の広西壯(チワン)族自治區(qū)柳州市は今、人気観光地へと「華麗なる変身」を遂げている。中國新聞社が報じた。
2月26日、多くの客で賑わう柳州市のあるタニシ麺の店(撮影?林馨)。
柳州市の屋臺で食べることのできるタニシ麺は、辛くて酸っぱいものの、クセになる香りと味わいが特徴だ。2014年に、インスタントタニシ麺が登場したのをきっかけに、中國各地で大人気となり、その人気は東南アジアや米國、歐州などにも波及した。そして、多くの人の「胃袋を摑んだ」柳州市は、「タニシ麺+観光」というスタイルを打ち出し、タニシ麺が各観光ルートの橋渡し役となっている。
2月26日、柳州のあるタニシ麺の店で列に並ぶ若者たち(撮影?林馨)。
柳州市はその波に乗って、白蓮洞洞穴科學博物館や螺霸王タニシ麺産業(yè)パーク、窯埠古鎮(zhèn)螺螄街といった観光ルートを打ち出した。このルートに沿って旅をすれば、観光客はタニシ麺の文化館や生産ラインを見學しながら、タニシ麺を味わうことができる。
タニシ麺を食べるためにやって來たという観光客の張坤玲さんは毎日、異なるタニシ麺の店に行って味わっている。そんな「00後(2000年以降生まれ)」の張さんは、「一つの都市を旅行する時、おいしい『ご當地料理がある、楽しめる、お金があまりかからない』などを重視する」と話す。
2月28日、柳州駅構內で、タニシ麺が入った袋をスーツケースの上にのせて列車を待つ女性(撮影?林馨)。
元々観光地ではなかった柳州市は現在、ご當地グルメや市內の公園全てが無料、ニッチといった特徴を売りにしており、中國のSNSで大きな話題となっている。中國の人気SNSでは、人気ブロガーや観光客が、「3元(1元は約19.6円)で水上の『路線バス』に乗って柳州市を観光できる」や「0元で柳州馬鞍山に登り、美しい夜景を楽しめる」、「カルスト地形の公園を無料で見學できる」と、このニッチな都市の魅力を伝えている。そして、現地の農産物市場まで観光客に「占領」されてしまうことさえあるほどの人気ぶりとなっている。
中國のZ世代の間では今、あまり人気のないところを選んで旅行に行く「逆張り旅行」が人気となりつつある。インターネット上では、300元で5つ星のホテルに泊まれる黒竜江省鶴崗市や「小韓國」と呼ばれる吉林省延吉市、ノスタルジーあふれる雲南省西雙版納(シーサンパンナ)?傣(タイ)族自治州などがZ世代から注目され、行くべき場所としてチェックされている。
旅行サイトの攜程の統計によると、2022年の國慶節(jié)(建國記念日、10月1日)に合わせた7連休中、衡水や鶴崗、日照、楽山といったニッチな街が大人気となった。その観光客の約7割が、「90後(1990年代生まれ)」や「00後」だった。
旅行サイト「去哪児」の黃小傑最高マーケティング責任者(CMO)は、「旅行市場の消費の主力となっている『Z世代』は、ただ単に人気観光地に行くことだけを旅行の目的としていない。ニッチな旅行先や都市は、高速鉄道や飛行機、5つ星のホテルといったインフラが整備されているほか、その料金が安いため、低コストでコスパが高い旅行を好む若者のニーズにマッチしている」と分析する。
中國経済が成長するにつれて、中國の旅行業(yè)は當初のような人気観光地をせわしく見て回るだけのスタイルから、バケーション型のスタイルへと移り変わり、今ではさらに「逆張り旅行」が人気となっている。浙江大學旅游?休閑研究院の劉慧梅副院長は、「中國の人々の旅行に対する思いはさらに成熟している。人気観光地に行くだけで満足するという人は減り、落ち著いた気持ちで、旅行先をじっくりと楽しむようになっている」と分析している。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年3月7日