北京の街を人民網(wǎng)日本人編集者のA姐とG姐がぶらりと歩いて紹介する、その名も「ぶらり北京」。今回は満を持しての故宮編。故宮內(nèi)をぶらりと歩きながら、ガイドブックではあまり紹介されていない「あなたの知らない故宮」豆知識を集めてみました。
動畫では「あなたの知らない故宮」をクエスト形式で紹介!A姐扮する皇帝のクエストをあなたはコンプリートできる?
【其の一】故宮には北斗七星が隠されている
故宮に隠された7つの星を探すには目線を上げる必要がある。でも見るのは空ではなくて、屋根の上だ。故宮の北斗七星とは、建物の上にある寶珠なのだ。
故宮に隠されている北斗七星(イラスト作成?玄番登史江)。
星観察は故宮の中に入る前から始まる。まずは午門の城樓と東西の燕翅樓の上にある4つの寶珠。これが北斗七星の魁(かい)、つまり桝(ます)の部分にあたる。
午門の城樓と東西の燕翅樓にある4つの星(撮影?勝又あや子)。
殘りの星は故宮の城壁の中にある。太和殿のすぐ北側(cè)にある中和殿に1つ、內(nèi)廷にある交泰殿に1つ、そして御花園にある欽安殿の寶瓶を球とみなして、最後の1つ。これで合計7つの星になる。
中和殿の寶珠(撮影?勝又あや子)。
交泰殿の寶珠(撮影?勝又あや子)。
欽安殿の寶瓶(撮影?勝又あや子)。
北斗七星は宇宙で他の星たちを率い、北極星を中心にして夜空で回転する。それはあまたの星々の中心的存在だ。そのため、故宮を造った人々は北斗七星を故宮の建物內(nèi)に配置したのだという。
【其の二】故宮には立ち耳と垂れ耳の獅子像がある
故宮には獅子像が6対ある。でも、この6対のうち、1対と他の5対には違いがあることに気づいている人はあまりいないかもしれない。注目ポイントは耳と目だ。
最初の1対は、太和門前の大きな銅製の獅子像。明の時代からこの場所に鎮(zhèn)座している。故宮の中で最も古く、最も大きな獅子だ。
太和門前の大きな青銅製の獅子像(撮影?勝又あや子)。
この2頭の獅子はピンと耳を立て、目をカッと見開いている。太和門は皇帝がまつりごとを執(zhí)り行い、式典を行う場所へと通じる門。そうした厳粛な場所に立つこの獅子は、耳を立て、目を見開いた威厳ある姿で、この門に向かって來る人々に睨みを利かせている。
これに対して、乾清門、養(yǎng)心門、寧壽門、養(yǎng)性門、長春宮の前にある5対の獅子像は、どれも耳を垂らし、目も眉毛がかかって半ば閉じたように見える。
乾清門前の獅子像(撮影?勝又あや子)。
これらの5対はどれも、皇帝が起居し、妃たちが暮らす「內(nèi)廷」に位置する。専門家によると、垂れ耳の獅子像は、內(nèi)廷にいる者たちに対する「身の程をわきまえ、政治には口をはさむな」という警告なのだという。
【其の三】故宮には1つだけ黒い屋根瓦の建物がある
故宮の建物と言えば、赤い壁に黃色い瓦。しかし、1ヶ所だけ、黒い瓦を使っている建物がある。それが文淵閣だ。太和殿のある広場から東側(cè)に出たところにある。
黒い瓦の文淵閣。殘念ながら普段は一般公開されていないので、今回は敷地の外から眺めるだけ(撮影?勝又あや子)。
文淵閣は清の時代の書庫として使われた建物。乾隆年間に建てられ、世に名高い「永楽大典」や「四庫全書」がこの建物に保管されていた。そこで、火事で焼けることのないように黒い瓦を敷いたのだという。五行學によると、黒は水に屬し、水は火を克する。黒に象徴される水によって火を抑え、つまりは蔵書を火事から守ろうとしたのだという。
【其の四】故宮には扁額に矢が刺さったままの門がある
故宮內(nèi)の隆宗門の扁額には、1本の矢が刺さったままになっている。この矢はいったいいつ、誰が放ったのだろうか。
隆宗門の額に刺さったままの矢じり(撮影?勝又あや子)。
隆宗門の橫にある説明によると、「嘉慶18年(1813年)に天理教の一揆軍が宮殿內(nèi)の宦官と內(nèi)応し、軍機処と皇帝の寢宮である養(yǎng)心殿へと通じる隆宗門まで攻め入った」時のもので、それを後世への戒めとして殘したと伝わっている。ほかにも、明を滅ぼした李自成が清軍に攻められて逃げる際に放った矢がそのまま殘っているという説もある。
【其の五】故宮の中から郵便物を投函できる
今年1月9日、故宮の中に郵便局が開業(yè)した。故宮の一番北にある神武門の手前にある。故宮オリジナルの切手や絵葉書、書籍など、故宮らしさたっぷりの商品が並んでいる。
神武門の手前に2023年1月にオープンした故宮郵便局(撮影?勝又あや子)。
私たちのお目當ては、ここでしか押せないというスタンプ。故宮の屋根裝飾に使われている神獣像など、なかなか心を揺さぶられるラインナップだ。ほかにも十二支をテーマにしたものなど、中國らしさあふれるスタンプが用意されているのだが、なんと、ここでノートや寫真集などの商品を買った人しか押させてくれないというトラップが…!
故宮の屋根裝飾に使われている神獣像のスタンプ。これは誰でも押すことができる(撮影?勝又あや子)。
ちなみに、この郵便局から絵葉書や手紙を出すこともできる。ただ、売られている絵葉書はセット販売だし、エアメールなどの場合、ちょうどいい金額の切手も売っていないので、あらかじめ手紙を準備して持ち込み、投函して故宮郵便局の消印を押してもらうというのがおススメだ。
【其の六】「宮廷気分」に浸れるカフェがある
神武門から故宮を出て城壁沿いに西に行くと見えてくるのが、故宮角樓カフェ。2018年末にオープンした當初は毎日行列ができていたが、今は少し落ち著いていてすぐ入店できた。店內(nèi)の壁には千里江山図があしらわれ、「宮廷気分」でカフェタイムが楽しめる。
故宮角樓カフェ(撮影?勝又あや子)。
千里江山図があしらわれた故宮角樓カフェの店內(nèi)(撮影?勝又あや子)。
故宮角樓カフェには、北京や故宮をテーマにしたオリジナルのドリンクやスイーツがある。この日はサンザシを水あめがけにした氷糖葫蘆がついたオーツミルクラテと、柿の果肉をあしらったライスミルクティー、養(yǎng)心殿をモチーフにしたラズベリーロールケーキ「養(yǎng)心巻」、千里江山図をモチーフにした抹茶ロールケーキ「千里江山巻」を楽しんだ。
北京や故宮をテーマにしたスイーツとドリンク(撮影?勝又あや子)。
店內(nèi)には故宮をモチーフにしたグッズもたくさん置いてある。バッジやブックマーカーのほか、カフェらしくマグカップやタンブラー、保溫ボトルもある。さらには今日本でもファンが増えつつあるメイクアップ用品も!色鮮やかでデコラティブな外観で、持っているだけで気分が上がってきれいになれそう?
【其の七】故宮に住み著いている「故宮貓」がいる
故宮の中には約200匹もの貓が住んでいると言われる。こうした貓たちは「御貓」(故宮貓)と呼ばれている。
この貓たちのうち一部の祖先は、朱元璋が南京から移ってきた時に連れて來た貓たちだと言われている。役割は鼠をつかまえること。でも今ではその本分よりも「イメージキャラクター」として「活躍」している。貓たちを可愛がり、寫真を撮るためだけに故宮にやって來る人も多いそうで、もはや故宮のアイドル的な存在。故宮貓たちのためにキャットフードを送ってくる人までいるという。
角樓カフェ前の「故宮貓」オブジェ(撮影?勝又あや子)。
ただし、故宮貓に出會えるかどうかは運次第。この日は結(jié)局會うことができず、角樓カフェ前のオブジェをなでなでして「出會えた」ということに。貓たちに出會いやすいスポットもあるようなので、そこを事前にしっかり研究して行けば、運がよければ會えるかも?
「故宮貓」オブジェと故宮の城壁(撮影?勝又あや子)。
北京の観光では欠かすことのできない故宮。そんな大定番の観光スポットである故宮でも、角度を変えてみると、まだまだ知らない事実が隠されている。故宮の中央ラインに並んでいる主要な建物だけ見て、南から北へ通り抜けるだけではもったいない!自分なりのテーマで「故宮クエスト攻略」を楽しんでみてもいいのでは?(文?勝又あや子)
「人民網(wǎng)日本語版」2023年2月24日
ぶらり北京
北京の街を人民網(wǎng)日本人編集者のA姐とG姐がぶらりと歩き、見たり、食べたり、遊んだり?興味の向くまま、気の向くまま、北京の魅力をゆる~くお伝えしていきます。
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