ヤクミルクを絞る遊牧民。(李昌禹?人民日報)
8月、西蔵(チベット)自治區(qū)那曲市嘉黎県麥地■郷(■は上と下が上下に組み合わさった字)では、外を歩くときにもう綿入れの上著を羽織らなければならないほどの寒さだった。ここの平均海抜は5100メートル以上あり、海抜の高い寒冷な気候の放牧地域だ。海抜が最も高い凱熱村の牧場は5280メートルに達(dá)するという。真紅の民族衣裝「蔵袍」に身を包み、つばの広いフェルト帽子をかぶった凱熱村の蔵族(チベット族)男性の倉巴さんは意気揚(yáng)々としていた。村の合作社からの配當(dāng)のほか、自分でやっているちょっとした商売とアルバイト、政府が支給する草原生態(tài)補(bǔ)助奨勵などの収入があり、昨年の一家の総収入は10萬元(1元は約15.9円)に迫ったからだ。しかし2015年までは、一家の一人あたり年収は2千元ほどしかなく、貧困世帯に分類登録されていた。
変化は麥地■郷が実施した「一村一合」の貧困脫卻促進(jìn)の政策によって訪れた。2015年、巴桑次仁さんが麥地■郷黨委員會の書記に就任した當(dāng)時、郷全體で貧困世帯に分類登録された世帯は380戸あり、世帯員は1900人に上り、郷全體の貧困率は37%にも達(dá)していた。牧畜民はあちこちでばらばらに放牧するのを主な生業(yè)とし、収入が極めて少なかった。巴桑次仁さんは経営を集約し、産業(yè)を発展させるため、一方で各村が経済協(xié)力組織を作るよう奨勵?支援し、また一方で郷で職業(yè)訓(xùn)練や自動車運転講習(xí)會などを開催し、牧畜民の技能訓(xùn)練を?qū)g施した。數(shù)年が経ち、郷全體のすべての村で牧場合作社が設(shè)立され、さらに牛糞加工場、家政サービスセンター、ガソリンスタンドなど20の経済協(xié)力組織が相次いで設(shè)立された。
2017年、凱熱牧場合作社が設(shè)立され、倉巴さんは一家で飼っていたヤク18頭をすべて合作社に投資し、妻も合作社で働き始めた。それから2年が経ち、倉巴さん一家は牧場から1萬2800元の配當(dāng)収入を得ただけでなく、小さな母牛一頭も配給された。自分で放牧する必要がなくなったため、倉巴さんは空いた時間でアルバイトに出られるようになった。この2年間、収入は一気に倍増した。今では、倉巴さんと同じように、麥地■郷の貧困世帯がすべて貧困から脫卻している。
ここ數(shù)年、那曲市はこの地域が抱える海抜が高い、自然環(huán)境が厳しい、経済的基盤が脆弱、産業(yè)構(gòu)造が畫一的といった問題に焦點を當(dāng)て、牧畜業(yè)の資源がもつ優(yōu)位性に立腳して、県(區(qū))で牧畜業(yè)開発會社を設(shè)立し、市內(nèi)でリーディングカンパニーを育成し、「リーディングカンパニー+県の牧畜業(yè)會社+合作社組織+貧困世帯」の収益連攜メカニズムを構(gòu)築し、市から県へ、郷へ、村へ、世帯へと広がる牧畜業(yè)開発局面を形成し、貧困者支援の成果を高めた。
那曲市色尼區(qū)にある西蔵嘎爾徳生態(tài)畜牧産業(yè)発展有限公司は、牧畜業(yè)のリーディングカンパニーだ。記者が海抜4500メートルの嘎爾德高原の有機(jī)牧畜産業(yè)モデル基地を取材した時、近くの達(dá)薩郷の6つの村の合作社で責(zé)任者を務(wù)める嘎達(dá)さんがバンを運転して、ヤクのミルクを運んできた。同基地の乳製品鑑定士の扎巴羅布さんがチェックし、嘎達(dá)さんが運んできたミル約65キログラムは品質(zhì)検査に合格し、すべて引き取られた。嘎達(dá)さんは、「以前は牧場が統(tǒng)合されておらず、皆ばらばらに経営を行い、自分が生産したミルクを自分で貯蔵し販売するのはとても大変だった。今では、基地が牧畜民たちに保冷ステンレスタンクを提供してくれるので、輸送は便利になったし、販路も心配しなくてよくなり、牧畜民の生産に対する積極性が大幅に向上した」と話した。嘎爾德基地の生産現(xiàn)場を訪れると、ヨーグルト、ヤクバター、発酵食品などさまざまな乳製品が所狹しと並んでいた?;丐呜?zé)任者の明加塔さんの説明によると、同基地は2018年1月に運営を開始し、これまでに貧困村76ヶ所の貧困世帯812世帯が基地にミルクを供給し、肥料を販売し、草原を一時的に貸し出しし、また基地で働くようになり、登録された貧困世帯は751萬2300元の収益を得た。
那曲市委員會の敖劉全書記は、「數(shù)年にわたる持続的な推進(jìn)により、那曲市の農(nóng)業(yè)農(nóng)牧畜業(yè)合作社は1540ヶ所に上り、農(nóng)民?牧畜民7萬3500世代の32萬2900人に影響が及ぶようになった。2019年の営業(yè)収入は総額3億6600萬元に達(dá)し、配當(dāng)は1億9900萬元になり、延べ1萬9100人の農(nóng)民?牧畜民が近くの地元で働けるようになり、延べ8萬2700人が賃金や配當(dāng)などで1億2100萬の収入増加を達(dá)成し、一人あたりの増加額は1467元だった」と説明した。
「自力更生し、困難に立ち向かい奮闘し、苦しい仕事もいとわない」。これは現(xiàn)地の貧困者支援に攜わる幹部の掲げるスローガンであり、貧困から脫卻するためには必ず通らなければならない道でもある。(編集KS)
「人民網(wǎng)日本語版」2020年11月27日