「瑟(しつ)」は、一度は伝承が途絶えた古代中國(guó)の撥弦楽器であり、復(fù)元された今の楽器が瑟であることをどうすれば証明できるのだろうか？

2014年、中國(guó)河南博物院に所屬する華夏古楽団は、韓國(guó)國(guó)立國(guó)楽院で訪問(wèn)公演を行い、楽団のメンバーである袁佳音さんが、瑟を使って「楚歌」を演奏した。すると、拍手が起きる前に、ある人が上記のような疑問(wèn)を投げかけたという。

袁さんは、「こうした質(zhì)問(wèn)が出ることはあらかじめ予想していたので、準(zhǔn)備していたパワーポイントで、古書(shū)や壁畫(huà)、出土した文化財(cái)から、弦、駒、胴に至るまで、私たちが復(fù)元と複製した際の根拠と過(guò)程を一切合切説明した」と振り返る。

華夏古楽団が立ち上げ當(dāng)時(shí)から所屬している袁さんは、これまで22年間、瑟を演奏し続けてきた?！冈?、古箏を演奏していて、入団してから瑟を演奏するようになった。瑟の形は古箏に似ていて、駒一つと弦が數(shù)本増えただけに見(jiàn)えるかもしれないが、実際には、演奏方法も音色も異なるので、一から一生懸命練習(xí)しなければならなかった」という。瑟はすでにその伝承が途絶えて久しかったため、袁さんは古書(shū)を読み漁り、無(wú)形文化遺産「中州箏派」の演奏技法などと組み合わせて、少しずつ模索を重ねるしかなかった。長(zhǎng)年の蓄積を経て、たくさんの成果を挙げており、袁さんは、學(xué)術(shù)誌に多數(shù)の論文を発表してきほか、専門書(shū)の編纂にも関わってきた。

河南博物院の馬蕭林院長(zhǎng)は、華夏古楽団の位置付けについて、「楽団であり、研究所、學(xué)校でもある」と説明する。自分たちで楽器を作り、楽譜を探して、演奏するほか、音楽の分野の考古學(xué)研究や學(xué)術(shù)研究もするという仕事を同楽団のメンバーは22年も続けている?！竵?lái)場(chǎng)者に見(jiàn)學(xué)するだけでなく、歴史を聴いてもらいたい」と馬院長(zhǎng)。

華夏古楽団の霍錕団長(zhǎng)は、「『古』楽団といっても、全ては『新』たに初めなければならない。普通の楽団は楽器を持って、楽譜を開(kāi)けばステージで演奏を始めることができる。一方、文化財(cái)の楽器は動(dòng)かすことはできないので、當(dāng)楽団は自分たちで複製を作り、研究開(kāi)発しなければならない。それに、楽譜は各種古書(shū)に散在しているので、自分たちで探さなければならない。時(shí)には1曲の古代の曲を演奏するために、10冊(cè)以上の古書(shū)を調(diào)べることもある。また、古代の曲で使われている『五音』を現(xiàn)代の楽譜に『翻訳』しなければ、演奏することもできない」と説明する。同楽団がこれまでに演奏してきた100曲以上の古代の楽曲は全て、このようにコツコツと再現(xiàn)してきたものだ。同楽団は現(xiàn)在、博物院で毎日演奏を2回行っている。祝祭日には3度演奏し、ほぼ毎回満?jiǎn)T御禮となるという。

同楽団のメンバーは、演奏者であり、研究者でもある。馬院長(zhǎng)は、「博物院自身は研究機(jī)関であり、古楽団も例外ではない。復(fù)元を経て、古代の楽器や楽曲を演奏するためには、學(xué)術(shù)的な厳密性が求められる。學(xué)者型の演奏家を育成したいと思っている」と話す。

華夏古楽団はこれまでに、約30種類の古代の楽器を累計(jì)で約1000點(diǎn)復(fù)元してきた。また、発見(jiàn)し、演奏してきた古代の曲は約200曲で、楽団のメンバーが発表してきた學(xué)術(shù)論文は累計(jì)で約100編、リリースしてきた著作、CDなどは約10作品となっている。

「古楽団は立派な學(xué)校で、ここにいる若者は成長(zhǎng)が速い」と話す「95後(1995－99年生まれ)」の晏文濤さんは2018年に華夏古楽団に入団してすぐに、博物院の「寶」で、8000年以上の歴史を誇る中國(guó)最古の楽器「賈湖骨笛」を複製し、演奏する重要なプロジェクトを任されたという。「入団してすぐに、霍団長(zhǎng)から博物院が編集した400ページ以上の書(shū)籍『賈湖骨笛』を渡された」という。非常に難しい書(shū)籍であるものの、晏さんは決してあきらめず、専門家の指導(dǎo)の下、骨笛を見(jiàn)事に復(fù)元した。

古代の楽曲を演奏するほか、古楽団は、古代の楽器でポピュラーミュージックや名曲を演奏するなど、いろんなことにチャレンジしている。こうした古代と現(xiàn)代のコラボレーション、中國(guó)文化と西洋文化のコラボレーションの模索は、多くの人の間で好評(píng)を博している。古楽団は最近、「ハリー?ポッター」の主題歌をアレンジして演奏し、ネット上で瞬く間に大きな話題となり、「スマホの著信音にしたいのでダウンロードリンクをアップしてほしい」との聲がたくさん寄せられた。その他、演奏動(dòng)畫(huà)をインターネット上にアップしたり、ライブ配信を行ったりして、クラシックブームを巻き起こしている。馬院長(zhǎng)は、「文化が生き続けることができるかは、発信にかかっている。インターネットが少しずつ私たちのメインの舞臺(tái)になってきている。古楽団には常にイノベーションの遺伝子がある」と語(yǔ)る。（編集KN）

「人民網(wǎng)日本語(yǔ)版」2022年5月19日