中國(guó)ではますます多くの若者がペットを飼うことで心の隙間を埋めるようになり、彼らがお金をつぎ込んだ消費(fèi)がペット経済の発展とバージョンアップを推進(jìn)している。関連の統(tǒng)計(jì)によると、2018年の中國(guó)ペット消費(fèi)市場(chǎng)の規(guī)模は1708億元（約2兆8266億円）に達(dá)する見(jiàn)込みで、中心となって寄與したのは80後（1980年代生まれ）と90後（1990年代生まれ）の若者層だ。この層は給與の半分近くをペットに注ぎ込んでいる。

ペット消費(fèi)市場(chǎng)の勃興は、青年の消費(fèi)モデルの多様化を意味し、経済発展や社會(huì)と文化の進(jìn)歩の現(xiàn)れともいえる。多くの研究データからもわかるように、ペットを飼うことは身體の健康と心の健康にとってプラスになる。新血管疾患やがんの患者でペットを飼っている人は回復(fù)がより順調(diào)という。ペットとふれあうことでイライラや落ち込みや孤獨(dú)感が軽減され、幸福感を高めることもできるという。

一方で注意しなくてはならないのは、急増するペット消費(fèi)が映し出す社會(huì)問(wèn)題だ。都市生活におけるプレッシャーや疎外感の高まりにともなって、若者層はますます孤獨(dú)になり、ペットから癒しを求めようとする。つまりペット経済とは「孤獨(dú)経済」を構(gòu)成する重要な要素だということになる。一人暮らしで、人間関係や心の交流が希薄な若者層は「空の巣若者」と呼ばれ、その特徴は「中國(guó)ペット消費(fèi)者行動(dòng)報(bào)告」で指摘されたペット飼育層の特徴と非常に似通っている。ペットはこうした一人暮らしの若者が誰(shuí)かに側(cè)にいてほしいという気持ちを満たし、さまざまなプレッシャーを軽減する手段になっている。

大都市で感じるプレッシャーと孤獨(dú)は天から降ってきたものではない。長(zhǎng)すぎる労働時(shí)間と少なすぎる休息時(shí)間が若い人からコミュニケーションのための精力と時(shí)間を奪い、仕事のプレッシャーを緩和する場(chǎng)所を失わせ、緊密な人間関係を構(gòu)築することを難しくしている。

國(guó)家統(tǒng)計(jì)局北京調(diào)査総隊(duì)がこのほど発表した「2018年北京市居住者時(shí)間利用調(diào)査報(bào)告」をみると、若年層（15?39歳）は一日あたり平均10時(shí)間働いており、1週間の労働時(shí)間は50時(shí)間になる。経済協(xié)力開(kāi)発機(jī)構(gòu)（OECD）加盟國(guó)のうち労働時(shí)間が最も多いのはメキシコで、1週間の労働時(shí)間は43時(shí)間を少し上回る程度だ。そして中國(guó)の労働法が定める1週間の平均労働時(shí)間は44時(shí)間となっている。これは北京市での統(tǒng)計(jì)だが、中國(guó)の若者の日常的な労働時(shí)間の長(zhǎng)さがここから十分にうかがえ、世界トップレベルの國(guó)にも引けを取らない。また中國(guó)の企業(yè)の多くに法律違反の疑いがあることも物語(yǔ)っている。

仕事の重圧が若者から休息時(shí)間を奪っている。中國(guó)社會(huì)科學(xué)院が発表した「レジャー緑書(shū)：2017?2018年中國(guó)レジャー発展報(bào)告」によると、中國(guó)人の一日當(dāng)たり平均休息時(shí)間がどんどん短くなり、17年は2.27時(shí)間で、大都市の居住者はこれを下回った。人とつきあうには時(shí)間も精力も必要で、各自バラバラの休息時(shí)間をうまく合わせるには運(yùn)も必要だ。

ペット消費(fèi)の増加は、中國(guó)の経済レベルの向上、若者層の収入の増加を物語(yǔ)ってはいるが、現(xiàn)実社會(huì)の中で若者たちが感じる強(qiáng)いいらだちや孤獨(dú)を映し出してもいる。多すぎる殘業(yè)、少なすぎる休息や娯楽が、「空の巣若者」たちが苦悶する根本的な原因の1つだ。若者たちをそこから抜け出させるために、見(jiàn)知らぬ物同士の疎遠(yuǎn)な社會(huì)になるのではなく、暖かい関係性を備えた共同體になることを期待する。（編集KS）

「人民網(wǎng)日本語(yǔ)版」2019年4月11日