以前は海外大手ブランドのスニーカーに夢中になっていた若者たちが、今では頭のてっぺんからつま先まで中國の國産品で固めている。知らず知らずのうちにトレンドの風(fēng)向きが変わり、消費者の選択も変化した。

東京五輪?パラリンピック、河南省の豪雨といった出來事の後、消費者の國産品に対する認知度が急速に上昇した。21年上半期には、安踏體育用品有限公司の売上高が228億元（1元は17.7円）に達して、アディダス中國法人を超えた。國産品が海外製品を追い越すターニングポイントがすでに來ているのだろうか。

國産品がますます人気なのはなぜ？

「90後（1990年代生まれ）」の男性の于さんは、「これまでいつもアディダスやナイキの限定スニーカーを購入しようと先を爭っていたが、今はウィンドーショッピングでも國內(nèi)スポーツブランドに真っ先に目が行くようになった。自分の印象では、國內(nèi)ブランドのデザイン言語には生まれ変わったような感じがあり、モデルの更新ペースも速い。自分だけでなく、周りの同僚や友人もいつも『國潮（中國伝統(tǒng)の要素を取り入れたおしゃれな國産品のトレンド）風(fēng)』のものを著ていて、これが今最も流行りだ」と述べた。

生まれ変わった、発展した、流行。これが多くの消費者にとっての中國発スポーツブランドの新たな代名詞だ。業(yè)界での分析によると、一つ上の世代の消費者が育ってきた年代には、海外ブランドに対して仰ぎ見るような感覚があったが、現(xiàn)在の「90後」や「00後（2000年代生まれ）」が成長した年代には、中國ブランドが次々に立ち上がり、海外ブランドと肩を並べるものも出てきた。

國産品に対する消費者の認知度が急上昇し、以前のように國産品の良さを見て見ぬふりをしなくなったことが、國潮の盛り上がりの原因の1つで、業(yè)績も目に見えて増加した。多くの國産ブランドが國産品の人気急上昇のおかげで、業(yè)績をかなり伸ばしている。21年上半期には、安踏の売上高が228億1200萬元、李寧は101億9700萬元、特歩國際は41億3500萬元に上り、中でも李寧の増加率が前年同期比65％と最も高かった。

メディアの報道によれば、アディダスのカスパー?ローステッド最高経営責(zé)任者（CEO）は、「現(xiàn)在、中國市場のニーズはグローバルブランドではなく、中國現(xiàn)地ブランドに向かっている」と述べた。

ターゲットはZ世代

浙商証券股份有限公司は以前に研究報告書の中で、「國産品の発展という大きな方向性は逆転できなくなった。いかなる突発的な出來事でもすべて國産ブランドのマーケティングの起爆剤になる可能性があり、中國ブランドの時代が到來したと言える」との見方を示した。市場がますます盛り上がり、國內(nèi)スポーツブランドも「國産品を発展させたい」という意欲をどのようにしてビジネスに落とし込むかを考えなければならなくなったという。

特歩の林海雲(yún)副総裁は、「國潮ブームの中、當(dāng)社のブランド認知度が目に見えて上昇したことは、中國の國力、消費者の認知、文化的な自信の高まりと深い関係がある。20年以降は、『新國風(fēng)』に沿った一連の試みを行い、たとえば少林寺などとコラボして、新ブランドのXDNAを打ち出した」と述べた。

中國の有名キャラクターや中國の文化的特色を示すモチーフとのコラボや融合は、國産ブランドが現(xiàn)在の「國産品ブーム」の中で採用する主な戦略だ。鴻星爾克によると、同ブランドは今年、中國の漫畫や河南博物館などとコラボし、青年共同創(chuàng)造プランを打ち出し、優(yōu)れたデザイナーと契約し、清明上河園とコラボしたスケボー用スニーカーなどの製品を打ち出した。同社の関係責(zé)任者は、「コラボ製品について、來年は更に多くの事業(yè)計畫がある」と述べた。

製品の品質(zhì)が安定して向上し、どの消費層に照準(zhǔn)を合わせるかがより重要になった。林氏は、「『國潮ブーム』の中で、Z世代（1995年代後半から2009年生まれの世代）が最も重要な消費の中心になるとみている。Z世代層の消費の嗜好を見ると、もともと國産ブランド志向だ。バックグラウンドのデータ統(tǒng)計によると、特歩のXDNAが発表されたのと前後して、Z世代層の資産は105％増加した」と説明した。青山資本が発表した中間期消費報告によると、Z世代とは1998年から2014年までの間に生まれた人で、中國には約2億8千萬人おり、全人口の約18.1％を占めるという。

「騰訊（テンセント）00後研究報告」は、?00後?を代表とする若い消費層は、國が強大になり隆盛に向かう時代に生まれ育ち、文化的な自信や民族的アイデンティティという點で他の層を大きく上回る。ますます多くの若い消費者が國産品を買いたいと考えるようになったと指摘した。

國産品はターニングポイントを迎えたか？

小売産業(yè)のベテラン専門家の李運楊氏はメディアに対し、「消費者の情熱がブランドの人気を爆発させることはあるが、ブランド側(cè)は消費者の情熱がいつまでも売上を支えるなどと期待してはならない。ブームが落ち著けば、また製品やサービスといった中核問題に戻ることになる。ここ數(shù)年、國産品は大きな発展を遂げたが、『爆発的人気』から『長期的人気』に移行するには、長い道のりを歩まなければならず、品質(zhì)やイノベーションの面で努力する必要がある」と述べた。

柒牌集団の洪炳文常務(wù)副総裁は、「企業(yè)は新陳代謝できる能力と発想を備えて國潮の発展に対処しなければならない。メイド?イン?チャイナからクリエイト?イン?チャイナへ移行し、國産ブランドをどうやって定著させるか、これは答えを出す必要のある問題だ。今後は、中國的な特色をもった要素とテーマを製品に反映させるにはどうしたらよいか、これが多くの國産ブランドが考察し、行動に移すべき問題になる。私たちにはまだまだたくさんの中國的モチーフや優(yōu)れた文化があり、これを発掘し伝承していくことが可能だ」と述べた。（編集KS）

「人民網(wǎng)日本語版」2021年10月18日