俳優(yōu)の宮崎あおい(寫真左)と堺雅人(寫真右)が出演した映畫「ツレがうつになりまして」のスチール寫真。
春節(jié)(舊正月、今年は2月16日)が終わり、中國の各名門蕓術(shù)系大學(xué)は、大學(xué)入試のシーズンを迎えている。今年も蕓術(shù)系大學(xué)がとても人気で、受験生が長蛇の列を作り、彼らに付き添う保護(hù)者もおり、試験官の真剣な指摘、先輩らのバックアップなどが「風(fēng)物詩」となっている。
最新統(tǒng)計(jì)データによると、今年も蕓術(shù)系大學(xué)の受験生は増加し、中でも最も人気なのは依然として演劇學(xué)部だ。北京電影學(xué)院を例にすると、演劇學(xué)部の合格率は僅か0.82%と、非常に倍率の低い學(xué)部で、將來役者になることを夢見る若者100人のうち、合格できるのは1人未満ということになる。
蕓能界を熱望する若者は増加しているものの、実際に出演している若手役者らは、「演技が下手」と指摘されることが多いのが現(xiàn)狀だ。20年以上指導(dǎo)に當(dāng)たっている中央戯劇學(xué)院の教師?劉天池さんはある番組で、「今よく見かける役者のうち、演技が『合格點(diǎn)』にあたるのは10%ほどだろう。それは、競爭のメカニズムがうまく構(gòu)築されていないことのほか、マネージメント會(huì)社などがあまりにも早く大學(xué)生と接觸していることとも関係がある」と指摘した。
では、日本の蕓能界はどのような現(xiàn)狀なのだろう。取材によると、日本でも、新人の役者がどんどん登場しているが、中國のように「蕓術(shù)系大學(xué)の入試」に若者が殺到するという狀況は見られないことが分かった。若手俳優(yōu)の演技は、舞臺(tái)などの現(xiàn)場で磨き上げられていくという。日本の若手俳優(yōu)は脇役から経験を少しずつ積み、その間もアルバイトなどをしながら撮影にも臨む。そして、市場と業(yè)界に少しずつ認(rèn)められるようになり、大きな役をもらえるようになるというのが、日本のほとんどの役者が歩む道だ。
日本の若手俳優(yōu)はアルバイトをしながらオーディション
早稲田大學(xué)のアジア文化研究學(xué)者?李思園氏は、「演劇學(xué)科を設(shè)置する蕓術(shù)系大學(xué)も少數(shù)ながらあるものの、日本では、『演劇學(xué)部』出身の役者はほとんどいない。専門的な演技の訓(xùn)練を受けているかは日本ではあまり重視されない。日本では、役者になる方法がいくつもあるが、映畫?ドラマ界には、『蕓術(shù)系大學(xué)出身』という概念はない。役者になることを目標(biāo)にしている日本の若者は普通、所屬している蕓能事務(wù)所を通して、映畫やドラマのオーディションを受ける。また、學(xué)生アマチュア劇団にまず入り、その後プロの劇団で演技を磨く人もいる。その他、スカウトされたり、雑誌のモデルから役者になったり、タレントとして人気になってから映畫やドラマに出演するようになったりする人も多い」と説明した。
アイドルグループが所屬する事務(wù)所が、所屬するメンバーにダンスや歌のレッスンを受けさせるケースもあるが、日本の役者の「演技」は通常、舞臺(tái)やカメラの前での実踐を通して磨き上げられたものだ。つまり、日本の役者は小さな脇役から演技の経験を少しずつ積なければならないということだ。役者になってすぐに主役を演じて、一気に売れっ子になるというケースはほとんどいない。反対に學(xué)びながら実踐経験を積むという「下積み」の期間がかなり長いかもしれない。俳優(yōu)?堺雅人は、「リーガルハイ」や「半沢直樹」などの大ヒットドラマに出演したことで人気俳優(yōu)となったが、そんな彼にも10年以上の「下積み」期間があった。堺雅人は早稲田大學(xué)文學(xué)部に入學(xué)し、同大學(xué)の演劇研究會(huì)を母體とする劇団「東京オレンジ」の旗揚(yáng)げに參加して看板俳優(yōu)として活躍した経験を持つ。そして、役者の道に目覚め、早稲田大學(xué)を中退して、大手蕓能プロダクション「田辺エージェンシー」に所屬するようになり、舞臺(tái)やドラマの脇役をしながら演技の腕を磨いた。その後、30歳の時(shí)にNHK大河ドラマ「新選組」に出演して視聴者に名前が広く浸透するようになったという。
一方、中國の場合は、マネージメント會(huì)社や蕓能プロダクションが大學(xué)にまで足を運(yùn)び、在學(xué)中に契約を結(jié)んでいる學(xué)生も多い。そして、1、2年生で映畫?ドラマに出演するようになり、3、4年生でもう主役を演じるようになっているというケースもある。あまりにも早く有名になり、スターになるという狀況は、日本で役者が育つ環(huán)境とは全く異なる。では、日本の若手役者は、どのような市場環(huán)境の下で演技の腕を磨いているのだろう?
李氏によると、「日本の若者が役者になる主な目的はお金儲(chǔ)けではない。そのような若者は役者の道に入る前に相応の心の準(zhǔn)備をしている。市場の波の中で方向を見失わないのは、日本の役者業(yè)界の生態(tài)と役者自身の信念とも関係がある。日本では、トップスターであっても、その出演料は中國の役者と比べるととても少ない。例えば、今最も旬の女優(yōu)?新垣結(jié)衣が出演する視聴率の高いドラマでも、1話あたり約10萬元(約168萬円)ほど。そのため、多くの若者が役者になりたいのは、大スターになりたいからではなく、役者の仕事が本當(dāng)に好きだからだ。そのため、彼らが一番大切にしているのは演技そのもので、それを心から追求している。若手役者の場合、アルバイトをしながらオーディションを受けているというパターンがほとんどだ。ドラマ『孤獨(dú)のグルメ』で主役を務(wù)める俳優(yōu)?松重豊は、20歳そこそこの時(shí)に、劇団「蜷川スタジオ」で舞臺(tái)に立ったり、フリーで國內(nèi)外のドラマ、映畫などに脇役で出演したりしながら「下積み生活」をし、生計(jì)を立てるために中華料理店でアルバイトをしたりし、約10年してからやっと役者として生計(jì)が立てられるようになったという。そのように、長年世間に揉まれ、社會(huì)を観察してきたという経験が役者にとっては「大きな財(cái)産」となっていることに疑問の余地はない。
人気だけのアイドルは存在せず、演技が下手なら生き殘れない日本
ある業(yè)界関係者は、「若手役者の演技が下手であることは、市場で良い競爭メカニズムが構(gòu)築されていないことと関係がある。日本では、若者は役者になった後、ゆっくりと時(shí)間をかけて演技を磨くことができる。そして、顔面偏差値やファンの數(shù)だけを頼りにして、演技を完全にないがしろにしているという役者はいない。役者の演技を市場やプロがいつも見張っているため、演技が下手な場合は絶対に生き殘ることはできない」と指摘する。
それに対して、日本の視聴者は役者に厳しい目を向けることはなく、一人の役者が少しずつ経験を積んで成長し、最終的に一人前の人気役者になるのを「見守り」、その「成長を感じる」ことを好む一方、業(yè)界の評(píng)価基準(zhǔn)や競爭のメカニズムはとても厳しく、役者一人が長年活躍するためには、オファーを受け続けなければならず、そのためには業(yè)界と市場の両方に認(rèn)められる必要がある。
中國と比べると、日本の映畫?ドラマ業(yè)界は保守的で、映畫會(huì)社やテレビ局?jǐn)?shù)社が牛耳っている。そして、中國のように、大量の資本が映畫?ドラマ業(yè)界に流れ込むという狀況も存在しない。キャスティングの際、「人気」も重要な要素であるが、実際にキャスティングをするのは監(jiān)督、プロデューサーなどの業(yè)界內(nèi)の人たちだ。
また、日本の出演料は中國と比べると「年功序列」で、若い人気役者よりベテラン役者のほうが高い。例えば、同じドラマに出演していても、中堅(jiān)俳優(yōu)の香川照之の出演料はアイドルの松本潤より高い。そのような環(huán)境なら、出演料が高いのに演技が下手というケースは自然とほとんどなくなる。(編集KN)
「人民網(wǎng)日本語版」2018年3月8日
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