ハイテク便座、粉ミルク、ストッキング、炊飯器――國內(nèi)市場にないわけでもない商品を海外で大量に買う中國人消費者が増え続けている。人間ドックなどの一般の醫(yī)療サービスを受ける人も目立ち始めている。大量に海外に流失し、他國のGDPに貢獻(xiàn)している中國人の巨大な購買力を國內(nèi)に留めておくことができないのはなぜか。

▽市場環(huán)境：競爭の混亂と信頼の欠如

國內(nèi)外で品質(zhì)に明らかな差はない。海外での購入にはリスクもある。それにもかかわらず海外での買い物に中國人消費者がこれほど熱心なのはなぜか。

「根本的な原因は、市場環(huán)境に起こっている問題だ」。粉ミルク業(yè)界で長年にわたって奮闘してきたある企業(yè)責(zé)任者は語る。同氏によると、商品に対する消費者の信頼には「閾値」があり、ある値を超えると信頼が崩れ、消費者は監(jiān)督者の発信する情報を信じなくなり、根拠の薄い噂を信じるようになる。そうなれば業(yè)界全體が悪循環(huán)に陥る。

こうした信頼の欠如は様々な面に表れている。同じブランドのハンドバッグを買うにしても、外國で買えば絶対に本物だが、國內(nèi)で買ったものは怪しいという具合だ。たとえ本物であることが間違いないとしても、國內(nèi)で売っている商品は品質(zhì)が海外より劣っていると信じている消費者もいる。

企業(yè)にとって市場環(huán)境は、花にとっての土壌のようなものである。良好な環(huán)境は、市場が資源配置の役割を果たす土臺となる。市場環(huán)境にひとたび問題が起これば、「悪貨が良貨を駆逐する」こととなり、優(yōu)れた企業(yè)であってもなかなか発展できなくなる。中國の粉ミルク業(yè)界にはまたおかしな現(xiàn)象が生じている。品質(zhì)を高めることで市場シェアを獲得するのでなく、他社の評判をどうにかして落として、他人を引きずり落とすことで自分が上に上がろうという企業(yè)が少なくないのだ。市場には、根も葉もないネガティブな噂が立ち込め、市場への消費者の懸念は高まっている。