2016年の中國(guó)人の平均壽命は73.5歳だったのに対して、日本人は83.4歳と、約10歳の開きがあった。しかし、実際には、北京や上海、広州などの一線大都市の住民の平均壽命は、日本に近づいている。中國(guó)は今後深刻化する高齢化社會(huì)にどのように対応すべきなのだろうか。そしてそこにはどんなビジネスチャンスが潛んでいるだろうか？シルバー経済の最先端を行く日本の企業(yè)は現(xiàn)在、こうした點(diǎn)に特に注目している。（文：陳言/メディア関係者、日本問題専門家。瞭望東方周刊掲載）

日本貿(mào)易振興機(jī)構(gòu)（ジェトロ）北京事務(wù)所の堂ノ上武夫所長(zhǎng)は、中國(guó)と日本の高齢者の暮らしぶりを比較すると、日本の高齢者のほうが、自分で身の回りのことをしたり、運(yùn)動(dòng)したりする能力が高いとしている。

これは、日本の高齢者の多くが、社會(huì)化された老人ホームなどに住んでいることとも関係があるだろう。日本の老人ホームでは、朝起きて顔を洗うなど、日常生活の多くの事を高齢者ができるだけ自分ですることになっている。もしそれが難しい場(chǎng)合でも、世話をうけながら、そうしたことを再び自分で行えるようになったり、運(yùn)動(dòng)機(jī)能を取り戻すことを目指し、少しずつ自分で身の回りの事ができるようバックアップしている。

一方、中國(guó)では現(xiàn)在、多くの高齢者が自宅で生活している。子供が仕事などで忙しい場(chǎng)合は、家政婦を雇う場(chǎng)合が多い。そうなると、ほとんどのことを家政婦に頼り、高齢者は動(dòng)く必要がないため、高齢者の家政婦に対する依存度が高くなっていく。結(jié)果、中國(guó)の高齢者の自力で行動(dòng)する能力は落ち、生活の質(zhì)も日本の高齢者に劣ってしまうことになる。

堂ノ上所長(zhǎng)は、「これは、中國(guó)と日本の文化の違いでもあり、日本の企業(yè)にとっては『ビジネスチャンス』とも言える」と指摘し、「中國(guó)の高齢者ケアが日に日に社會(huì)化するにつれ、日本式の高齢者ケアや老人ホームの管理スタイルを受け入れる中國(guó)人が今後、増加していくだろう」と予想している。

日立電梯(中國(guó))の水本真治総裁は、北京や上海、広州などに約40年ほど勤務(wù)しており、中國(guó)社會(huì)の変化を肌で感じている。水本総裁は、「中國(guó)で日に日に進(jìn)む高齢化は、市場(chǎng)に新たなビジネスチャンスをもたらしている」との見方を示す。

例えば、30－40年前に中國(guó)で建設(shè)された多層階住宅のほとんどにエレベーターがなかった。當(dāng)時(shí)そこに入居した中年の人々が現(xiàn)在はすでに80歳前後になっている。彼らにとって、5-6階どころか、3-4階でも階段を登るのはひと苦労。そうした古い住宅に、高齢者のためのエレベーターを後付けするというのが、中國(guó)特有のビジネスチャンス。

水本総裁によると、日本は高齢化がより深刻であるものの、エレベーターの後付け業(yè)務(wù)のニーズがほとんどない。その主な理由は、都市部であっても、農(nóng)村部であっても、日本人は2階建ての家に住んでいることが多く、エレベーターは必要ないからだ。また、東京の中心にある高層ビルの數(shù)は、北京や上海ほど多くなく、そのほとんどに元々エレベーターが取り付けられているからだ。

水本総裁の會(huì)社は上海市普陀區(qū)で築40年以上の多層階住宅にエレベーターを後付けした経験を持つ。それにより、高い階に住んでいた高齢者も頻繁に階下にやってきて歩いたり、買い物に出かけたりできるようになったため、その反応も良好だという。水本総裁の手元にある統(tǒng)計(jì)によると、上海市だけでも、団地約4000ヶ所において約16萬臺(tái)のエレベーターを後付けするニーズがあるという。また、広州の古い多層階住宅の60％のエレベーター後付け業(yè)務(wù)を請(qǐng)け負(fù)っているという。

中國(guó)市場(chǎng)に注目している日本企業(yè)は、中國(guó)の高齢化問題は、日本と多くの共通點(diǎn)がある一方で、中國(guó)獨(dú)特の問題も抱えていることを既に認(rèn)識(shí)している。日本の最新の技術(shù)を活用し、さらに、中國(guó)人ならではのニーズを考慮に入れて、中國(guó)式の解決策を提供するというのが、今後の中國(guó)市場(chǎng)で成功するためのカギとなるだろう。（編集KN）

「人民網(wǎng)日本語版」2018年5月18日