新型コロナウィルスの流行を契機(jī)として始まったネット授業(yè)を嚆矢として、始まった変革は、パンドラの箱を開けてしまった。大學(xué)の教師は、薄々感じてはいたが、無意識(shí)に無視していた不都合な事実が、ネット授業(yè)により明らかにされつつある。
筆者は、中國の大學(xué)で今年の2月の後半から既に3ヶ月ほどネットで授業(yè)をしている。ネットでの授業(yè)は、対面式の教室での授業(yè)と異なる大きな特徴がある。それは、學(xué)びたいという意欲のある者にとって、ネット授業(yè)は教室での授業(yè)に比べて効率が良いことである。筆者が自分の學(xué)生約60人に行ったアンケート調(diào)査では、「ネット授業(yè)の方が、教室での授業(yè)よりもメリットが大きいので、好ましい」と答えた學(xué)生が80%、「教室の授業(yè)より欠點(diǎn)が多いので、好ましくない」と答えた學(xué)生は4%、殘りはその他であり、圧倒的大多數(shù)の學(xué)生はネット授業(yè)を肯定的に評(píng)価している。しかし、教師たちからは、否定的な反応が多い。では、欠點(diǎn)として挙げられている主なものを見て行こう。
①ネット環(huán)境が必要であるので、経済格差により貧しい家庭の子供が不利
②學(xué)生の把握と管理が困難なので、やる気のない者に勉強(qiáng)させるのが難しい
③問題の答えを次々と學(xué)生に當(dāng)てて答えさせるという形式はレスポンスに難がある
④學(xué)生がどれほど理解しているか、対面式と異なり把握しにくい
⑤學(xué)校で學(xué)ぶべきは、學(xué)歴や教科學(xué)習(xí)以外に、友人?戀人?教師との出會(huì)いと交流などがあり、人間関係や集団生活での一般常識(shí)などが學(xué)べない
⑥教師が管理されることになり、授業(yè)以外の雑談や無駄な話ができない
⑦ネット授業(yè)用の動(dòng)畫を作成したり、教材を作ったりする授業(yè)準(zhǔn)備が大変
以上が、欠點(diǎn)であるが、それぞれ検討してみよう。
①→數(shù)年內(nèi)に、全員がスマホやパソコンを持ち、高速ネット接続が安価に當(dāng)たり前の時(shí)代になる。実は、地方の貧しい家庭の子供こそ最大の受益者で、今までは受けられなかった都會(huì)の一流の教師の授業(yè)を無料もしくは格安で受けられるようになるので、都市と農(nóng)村の格差や貧富の差、教師のレベルの差をも縮められる。例えば、筆者もネット授業(yè)で日本人教師のいない武漢の大學(xué)の學(xué)生にボランティアで授業(yè)をしている。北京や上海は外國人教師や優(yōu)れた教育環(huán)境があるが、地方の大學(xué)では外教もほとんどいなければ、日本人も全く住んでいない環(huán)境で、既存の教育形態(tài)では、大きな格差が存在している。
②→小中學(xué)校の義務(wù)教育ではその通りだが、高等教育の授業(yè)では、自分が學(xué)びたい専門を?qū)Wびに來ているのであるから、學(xué)びたくない學(xué)生に強(qiáng)制的に學(xué)ばせる必要はない。専門的な技術(shù)を身に付けたり、好きなことをしたりする方が良い。ネット授業(yè)は勉強(qiáng)したい意欲と自分で勉強(qiáng)する能力の高い學(xué)生には極めてプラスだが、勉強(qiáng)する意欲と自分で勉強(qiáng)する能力の低い學(xué)生にとっては極めてマイナスに働く。その証左に、日本では東京大學(xué)や早稲田大學(xué)などのトップスクールはネット授業(yè)に真っ先に対応できているのに対し、コロナ流行がなくても淘汰されると予測されていた地方や私立の下位大學(xué)ほどネット授業(yè)に対応できず、結(jié)果的に、ネット授業(yè)に切り替えるチャンスを逃している。大學(xué)の資金力?インフラの厚さに加え、教員や學(xué)生の質(zhì)によって、上位大學(xué)と下位大學(xué)の差が拡大しかねない狀況である。
③→パワポを表示できるのみならず、今まで黒板に書いていた板書もパソコン上で即座に書いたり、必要な箇所をその場で臨機(jī)応変に學(xué)生に送ったりすることもできる。必要ならば、寫真を撮って送ったり、資料や動(dòng)畫なども即座に共有したりもできる。學(xué)生は、分からないことがあったらインターネットで即座に検索して知ることもできる。動(dòng)畫や音聲を送ることができるのだから、學(xué)生たちはわからなければ何度でも見ることもできるし、わかる學(xué)生はどんどんと先に進(jìn)むこともできる。
④→小テスト等でマスターできているかを把握すれば事足りる。アンケート機(jī)能を通じてどこがわからないのかどれだけ理解しているのかも明確に把握できる?,F(xiàn)在は出席していること、真面目に授業(yè)を受けていることが非常に重視されているが、どこまで理解できているかが評(píng)価の重點(diǎn)になる。小まめにチェックできるし、一人一人の記録も取れるので、卻って把握しやすい。ま學(xué)生も、教室での授業(yè)では周りの目を気にして手を挙げられない學(xué)生が殆どであるが、ネットで教師に直接聞けるようになってからは、ずっと容易に分からないことを聞いてくるようになった。個(gè)人個(gè)人に対応した指導(dǎo)がやりやすくなった。
⑤→高等教育の専門の授業(yè)は、マナー教育をするところではない?,F(xiàn)在では出會(huì)いですら、ネットになって來ている。その方が、大きな母數(shù)から趣味や考え方の合う人を見付けられるので、より幸せに個(gè)性を伸ばせる面もある。100%ネット授業(yè)にするということではなく、講義そのものをネット授業(yè)にすることにより、教師や學(xué)生の余力を他の活動(dòng)に投入しやすくなる。つまり、ネットによって3次元の交流も促進(jìn)されるようにしていける。また、ネット授業(yè)なら、不登校の學(xué)生でも授業(yè)について行けるようになるのでコミュニケーション弱者を助けることにもなる。
⑥→授業(yè)や教育に全く関係のないただの雑談は控えるべきである。もししたければ、個(gè)別にききたい人達(dá)だけを集めてすればいい。聞きたくない人もいる。授業(yè)時(shí)間で話すべきことを話し終えて場を繋ぐために話すくらいなら、例えば、90分の授業(yè)を50分程度で終えられるはずだ。そうすれば、殘りの時(shí)間でインタラクティブな授業(yè)をしたり、関連する內(nèi)容を教えたりしても良いのではないか。
⑦→確かにコンテンツ作成は負(fù)擔(dān)が相當(dāng)大きいが、ネット授業(yè)用の教材の多くは、使い捨てでなく、一度作ると繰り返し使えるので、空いた時(shí)間を他の活動(dòng)や、個(gè)別の指導(dǎo)などに充てたり、補(bǔ)助教材を作成したりすることができるようになる。また、自分の得意な教科に注力し、いいコンテンツは教師同士でシェアし合えば、授業(yè)準(zhǔn)備も軽減し、學(xué)生にとってもより分かりやすくなる。
以上から、ネット授業(yè)には欠點(diǎn)を補(bǔ)って余りある可能性と長所があることが分かる。総じて、ネット授業(yè)では、學(xué)生が自分でできる事は學(xué)生に任せることで、今まで授業(yè)で學(xué)生と一緒に教科書を読んだり、問題の答え合わせをしていたりという時(shí)間はぐっと圧縮できる。ビデオに録畫すれば、更に効率的な授業(yè)運(yùn)営が可能となるであろう。授業(yè)では、理解度の確認(rèn)と、學(xué)生が自分で分からなかったところを解説したり、+αの知識(shí)や勉強(qiáng)の仕方を教えたり、議論して導(dǎo)く形になっていくであろう。それは、教育の本來あるべき姿に立ち返ることだとも言える。しかし、教科書以上の知識(shí)を教えたり、學(xué)生からの想定外の質(zhì)問に対応したりするのは、教師に総合的な力が求められる。ネット授業(yè)の成否は教師にかかっているのである。(文?北京第二外國語大學(xué)副教授 津田量)
「人民網(wǎng)日本語版」2020年7月7日