このところ米國は中米間の貿(mào)易不均衡を理由として、中國に対する貿(mào)易制限を発動している。トランプ大統(tǒng)領(lǐng)は「米國は被害者」と述べ、世界貿(mào)易機関（WTO）のルールは米國に不利であり、WTOは中國に荷擔(dān)し、米國に対して平等でないなどと批判している。「北京日報」が伝えた。（文：李計広?対外経済貿(mào)易大學(xué)國際経済研究院教授）

米國の貿(mào)易赤字問題については、國內(nèi)?海外の學(xué)術(shù)界で多くの研究がなされており、比較的一致した結(jié)論は、「貿(mào)易赤字には4つの原因がある」というものだ。米ドルが國際的な準備通貨であるという特殊性、米國の高消費?低貯蓄モデル、グローバルバリューチェーンの分業(yè)、米國のハイテク技術(shù)の対中輸出規(guī)制の4點だ。よって中米貿(mào)易の不均衡の責(zé)任は中國にあるのではなく、米國自身にある。いわゆる赤字とは、トランプ大統(tǒng)領(lǐng)が対中貿(mào)易摩擦を引き起こすための口実に過ぎず、「WTOが中國に荷擔(dān)している」との見方にはいささかも根拠がないといえる。

WTOの推進の下、経済グローバル化が深いレベルで発展を遂げ、中國も米國も大きな利益を得てきた。米國の利益が中國よりも多いことは確実で、それは主にルールをめぐる利益と経済貿(mào)易をめぐる利益の2點に表れている。

ルールをめぐる利益ということでは、ルールの制定者が最大の受益者になることが多い。第二次世界大戦以降、米國は多國間貿(mào)易體制の主導(dǎo)者であり、米國に有利な多くの経済貿(mào)易ルールが実施されるよう後押ししてきた?，F(xiàn)在のWTOルールはウルグアイ?ラウンドで締結(jié)されたものであり、その交渉の過程で、米國は、「サービス貿(mào)易に関する一般協(xié)定」（GATS）や「知的所有権の貿(mào)易関連の側(cè)面に関する?yún)f(xié)定」（TRIPS協(xié)定）などの米國の優(yōu)位性に合致したルールを多國間貿(mào)易システムに組み込み、発展途上國に有利になる各種ルールをなおざりにしてきた。中國はWTOの新メンバーであり、WTOルールを受け入れる者だ。中國はWTO加盟交渉において、権利と義務(wù)の均衡が取れた全體的な原則について合意した。中國はWTO加盟後、WTOルールの交渉に積極的に參加したが、ルール制定をめぐる米國の主導(dǎo)権に挑戦を挑んだことはない。つまりルールをめぐる利益ということでは、米國が今なお主導(dǎo)的な立場にある。

経済貿(mào)易をめぐる利益ということでは、米國はルールに基づいて多くの目に見えない利益を得てきた。WTOの後押しを受けて、経済グローバル化が急速に発展し、米國はグローバル化から力を得て多國籍企業(yè)が主導(dǎo)するグローバルバリューチェーンを構(gòu)築し、自らはチェーンの上層部分や高付加価値部分におさまった。貨物貿(mào)易では、米國の赤字全體のうち対中國が50％を占めるが、付加価値の統(tǒng)計ではこの數(shù)字は16％に低下する。また中國の輸出をめぐる付加価値の一部は米國の投資によって得られたもので、トランプ大統(tǒng)領(lǐng)が米國の貨物貿(mào)易赤字を過剰に言い立てていることは明らかだ。サービス貿(mào)易では、米國は一貫して黒字であり、優(yōu)位性が拡大を続けており、2006年から16年の間には、中國のサービス貿(mào)易の赤字の最大の原因となった國は米國であり、赤字額は10年間で34.7倍増加した。あらためて投資をみると、米國は対外投資大國であり、外資導(dǎo)入大國でもある。経済グローバル化を背景として、米國の資本は世界に広がり、世界中で「羊毛刈り」（強い者が弱い者の利益を奪い取る）を行い、純債務(wù)國となり、國際投資では一貫してプラスとなり純収益を上げ、その規(guī)模は6兆ドル（1ドルは約107.0円）にも達していた。これと同時に、米國は中國でも大量の直接投資を行い、年平均収益率は20％を超え、こうした資本の投資家の多くは中米貿(mào)易を組織する者であり、主な利益獲得者でもあった。よって米國こそ経済グローバル化の最大の受益者だと、少しも誇張を交えずに言うことができる。