このセクションの最重要の展示物は1964年の東京五輪の2大會場となった國立代々木競技場と日本武道館の屋根だ。模型と航空寫真がなければ、この2大建築の屋根の全貌はなかなかうかがい知ることは出來ない。
武道館の屋根は青銅色をした正八角形で、屋根のカーブは富士山を模している。武士道の精神を表した、純日本風の建築物だ。
代々木競技場は現(xiàn)代建築で、日本の建築家として世界で最も早く名を知られた丹下健三氏が設計した。ワイヤーロープによる「吊り屋根構造」が有名で、「一體感」が強く打ち出されている。この一體感はシェル構造で、3つの施設を覆い一體化させた屋根によって醸し出されるものだ。実際の屋根の材料は厚さ4.5ミリメートルの鉄板で、2本の主柱とワイヤーで吊り橋のように吊り下げられている。
▽建築としての工蕓
「工蕓」も日本建築の遺伝子の1つであり、この根源は日本文化がもつ自然を抽象化する意匠のセンスと高度な匠の技にある。
「観念が全體を統(tǒng)率する」という理念が西洋から持ち込まれる以前の日本には、細部を極め、「部分が説得力のある全體をつくる」という考え方があった。このセクションには、今展覧會の最大の目玉の一つ、日本の茶道文化の始祖とされる千利休の茶室「待庵」(たいあん。京都)の原寸再現(xiàn)が展示される。待庵は國寶で、現(xiàn)存する日本最古の茶室建造物であり、利休の「侘び」(枯淡?靜寂の境地)の思想を空間に落とし込んだ代表的建造物でもある。
待庵の外観は寄棟造(よせむねづくり。4方向に傾斜する屋根面をもつ屋根形式の一つ)に切妻造(きりづまづくり。屋根の最頂部の棟から地上に向かって2つの傾斜面が本を伏せたような山形の形狀をした屋根形式の一つ)を加えた複合型の屋根形式が採用され、こけら葺き、ミネラルウォーターのボトルほどの太さの原木2本が軒を支えて、象徴的な役割も果たしている。再現(xiàn)された待庵は枯山水の玉砂利の上に鎮(zhèn)座し、かがまなければ通れないにじり口が幽玄の世界へと私たちを誘う。斜面と直線からなる天井は畳2畳分くらいしかない茶室を狹く感じさせない。ぜいたくな裝飾を排除し、簡素を極めたこの空間には、「少にして多、簡にして豊」の境地が広がる。(編集KS)
「人民網(wǎng)日本語版」2018年8月29日
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