急な山の斜面に作られた畑で農(nóng)作物を作ったり、家畜を育てたりして暮らしてきた「斷崖村」の村民は何世代にもわたり孤立した環(huán)境で生活してきた。饒國(guó)君/人民図片

四川省涼山彝（イ）族自治州の西昌市から昭覚県へと続くつづら折れの山道を進(jìn)むと、風(fēng)力発電用のプロペラを積んだトレーラーがゆっくりと走っていた。長(zhǎng)さ40メートル以上のプロペラの片側(cè)は液圧プレスに固定され、もう片側(cè)は空に向いていた。誘導(dǎo)車に誘導(dǎo)されながら、山から突き出る障害物や樹木を、プロペラが次々と巧みにかわしていく様子は圧巻だった。

2018年5月5日に撮影された「斷崖村」まで上るために以前使用されていた巖肌にぶら下がる木製のはしご。老兵/人民図片

イ族の運(yùn)転手?阿布さんはこうした狀況にはすでに慣れっこだ。近年、山は高く道は険しいことで知られる大涼山地區(qū)に、水道や電気、道路、インターネットなどが少しずつ通るようになり、目を見張るような圧巻のプロジェクトを、涼山地區(qū)の各地で見ることができる。そして、多くの人にとって以前なら想像もできなかったような施設(shè)が、貧困を脫卻した今では、すでに日々の暮らしに不可欠なものになっている。

今回の取材の目的地である昭覚県支爾莫郷阿土列爾（アトゥラール）村もその典型的な例だ。つるや木で作られたはしごから鉄パイプ製のはしご、そして「階段のある団地」へと、村民たちは険しい貧困脫卻の道を歩んできた。

巖肌に沿って建設(shè)された鉄パイプ製の階段。完成後、村民の上り下りは便利で安全になり、「斷崖村」にも電気、インターネットが通った。饒國(guó)君/人民図片

アトゥラール村では、「ここの山道は険しいものの、気候が良く、盜賊の襲撃や騒亂などに巻き込まれることもなく、住みついて農(nóng)牧業(yè)をするのにも適しているのを発見した先祖が移り住み、隔絶された環(huán)境で自給自足の生活をしてきた」と、六、七世代にわたって語(yǔ)り継がれてきた。

しかし、先祖の目には、自然豊かな山に囲まれ浮き世を離れた「桃源郷」に見えたこの地の特徴は、今は時(shí)代が変わり、村民にとっては素晴らしい生活実現(xiàn)を阻む障害となっていた。同村と山の下の標(biāo)高差は約800メートルもあるため、「斷崖村」と呼ばれてきた。この「斷崖村」を出るためには、以前は濕っていて滑りやすいつるや木で作られたはしごを使わなければならなかった。そして、公道やインターネットもなければ、電気の供給すら不安定だった。村民たちはそこで土壁の家に住み、自給自足の生活を送っていた。山の下の物資を村まで運(yùn)ぶことも、山の上の村民が下りてくることも難しい狀況だったからだ。

2018年5月5日に撮影。鉄パイプ製の階段を上って斷崖村に帰る村民。老兵/人民図片

2017年の全國(guó)両會(huì)（全國(guó)人民代表大會(huì)?全國(guó)人民政治協(xié)商會(huì)議）會(huì)期中、習(xí)近平総書記は四川代表団審議に參加した際、「斷崖村」に鉄パイプで階段を新しく作るというプロジェクトに特に関心を示した。鉄パイプを溶接して作るこの階段は、計(jì)2556段で、長(zhǎng)さ2.8キロ、幅1.5メートル。頑丈に溶接して組み合わされた鉄パイプ製の階段が、ほぼ垂直の巖肌をつたい、しっかりと固定されている。

鉄パイプの階段で繋がったことで、山の上り下りは以前に比べるとかなり楽になった。それから1年も経たない間に、アトゥラール村には電気、インターネットが通り、4Gの電波も屆くようになって、社會(huì)との関係も強(qiáng)化されるようになった。そして、「鉄パイプ製の階段」を體験し、斷崖絶壁の上にある村に行ってみたいという観光客が集まるようになって、観光業(yè)の收入が急増した。2019年、「斷崖村」を訪れた観光客は延べ10萬(wàn)人で、村民に約100萬(wàn)元（1元は約15.9円）の収入をもたらした。

2018年1月、「斷崖村文化観光プロジェクト」が始動(dòng)した。子供たちは保護(hù)者が見守る中、鉄パイプ製の階段を上ると、安全であるだけでなく、度胸を鍛えることができる。饒國(guó)君/人民図片

2020年5月、「斷崖村」の貧困世帯84世帯は、貧困者支援のために建設(shè)された住居に移転し、「階段のある団地」に住むようになった。村民らの移住は海外メディアの注目も集め、米CNNの記事は、「村民の雲(yún)と霧の中での生活は幕を閉じた」と伝えた。

新しい居住地となった昭覚県の中心地に近い場(chǎng)所にある南坪コミュニティは清潔で整然としていて、家も広々としていて明るい。そして、定期的に、文化活動(dòng)やスポーツ活動(dòng)が企畫され、皆が楽しく暮らしている。その近くには幼稚園や學(xué)校、病院などの公共サービス施設(shè)もある。放課後、子供たちはつるや木で作られたはしごを登って家に帰る必要はなく、コミュニティの施設(shè)で友達(dá)と楽しく遊ぶことができる。

涼山地區(qū)のあるネットユーザーは、「高い所は怖くなく、よじ登ることが得意というのが、以前の涼山地區(qū)のイ族自慢の得意技だった。今、昭覚県內(nèi)に住む子供たちは、その『得意技』を受け継ぐ必要はなくなったけど、もっと楽しく暮らしている」と綴っている。

2020年9月12日、移転先となった四川省涼山州の新居で、家族と一緒にテレビを見る村民?阿約火日さん。邱海鷹/人民図片

涼山地區(qū)のイ族のもう一つの「得意技」は、「おもてなし」で、歌を歌ったり、踴ったりするのも好きだ。イ族の人たちは、生まれつきガイドとして、観光客をもてなすのに向いているのだ?！笖嘌麓濉工未迕瘠味啶灳婴筏郡猡韦巍⒓s30世帯は村に殘り、観光プロジェクトの開発に參加している。今後、「斷崖村」には、ロープウェイや「斷崖民宿」などが建設(shè)され、ここでしか味わうことのできない観光體験が提供されるようになる計(jì)畫だ。そして、そこは中國(guó)の貧困脫卻のための取り組みの成果を展示する「博物館」となるだろう。「斷崖村」がさらに開発されるにつれて、さらに多くの村民が観光を頼りに生計(jì)を立てることができるようになるだろう。

それ以外にもバラエティーに富む支援政策のサポートの下、村民らは、標(biāo)準(zhǔn)中國(guó)語(yǔ)である「普通話」や新しいスキル學(xué)んで、涼山地區(qū)のインフラ建設(shè)やサービス、貧困者支援産業(yè)などに參加できるようになっている。隔絶された環(huán)境の農(nóng)業(yè)経済が幕を下ろし、「一歩進(jìn)んで、千年タイムスリップ」するような変化を経験し、高齢者もケアされ、若者には仕事があり、子供もきちんと教育を受けることのできる現(xiàn)代のライフスタイルに少しずつ溶け込んでいる。

貧困脫卻のための取り組みが実施され、以前は孤立していた「斷崖村」に各地から観光客が訪れるようになって賑やかになり、その獨(dú)特の魅力で新たな未來(lái)を切り開いている。

「人民網(wǎng)日本語(yǔ)版」2020年12月7日