5.審査所感
日中友好中國大學生日本語卒業(yè)論文コンクールはすでに第十七回を迎えてきましたが、日本において審査會が行われたのは今回が始めてです。本場の美味しい日本料理に舌鼓を打ちつつ、論文審査が捗りました。
文學部門に提出された論文は全部で十二本で、全體的には質の高い論文が多く、現(xiàn)代日本文學研究をテーマとする論文の量が増え、従來古典を中心とした論文構成に変化が見られるのはこの三、四年來の特徴となっています。
今年、一等賞と選定されたのは「中日両國の漢文教育の比較研究」という論文です。審査委員が三人揃って本論文を高く評価したのは、作者が論文に取り組む姿勢そのものです。中國側の資料と日本側の資料を丁寧に精査した上、比較の方法を用いて、その共通點と相違點を指摘し、更にその原因の分析を試みました。一見地道な研究ですが、いかにも大學生らしい論文となっています。コンクールの回數(shù)が重なるにつれて、論文の質が大分向上しました。その反面、入賞を目當てに、奇抜なテーマや長さで勝負する論文、そして先生の過度指導の痕跡が濃厚に窺われる論文が増えたのも事実です。正直言って所詮、大學生の卒業(yè)論文なので、斬新な理論を創(chuàng)造したり、修士や博士並みの研究成果を生み出したりするようなことは、そもそもわれわれは期待しておりません。日頃の勉強を通じて身に付けた知識や研究方法を生かし、真剣に取り組めば、良い論文がまとめられると、今回の一等賞の論文はそれを如実に物語っていると思います。
今回の論文審査を通じて感じたもう一つのことは、論文の質的な向上だけでなく、研究分野も多岐に渡っているのです。だた、その中で注意すべきなのは、所詮日本語學部の學生が書いた論文なので、論文の主題はやはり日本文學に関するものでなければならないでしょう。例えば、今回提出された論文の中に、魯迅先生の小説における日本文學の影響研究があります。所謂比較文學の研究方法はいいですが、研究対象は魯迅文學なので、言うまでもなく中國文學の範疇なので、本コンクールの趣旨には合わないのです。そのため、論文の出來ばえはいずれにせよ、やもえず審査対象から外しました。その點について今後各大學は論文推薦にあたって、注意すべきなのでしょう。
(北京第二外國語學院副校長教授 邱鳴)
「人民網日本語版」2017年11月2日
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