10倍頑張って唯一無二の感動を得る
この店で一番変わったのは石川さん本人だ。
服のデザインを勉強したこともない女性が、異國の地でセミオーダーができるブティックを経営するというのは、今振り返ってみても、とても勇気のいることだった。
仕事について、石川さんはかつて、「中國の人口は日本の10倍なのだから、自分も10倍頑張らなければ」と語っている。
商品の縫製は現(xiàn)地の職人に発注しており、正確で、科學的に體に合わせて服を作る方法や良い生地の見分け方なども、職人に教えてもらっているという。
そして、「職人はプロ。ずっと教えてもらった方法で縫製をやっている」と謙虛に語る。また、彼女にとって、職人は固定の提攜パートナ―でもあり、「家族と同じほど大切な存在」と説明する。
店の10周年記念に集まった石川さんと提攜している縫製の職人(右から2番目)ら(畫像は石川さんが提供)
店內(nèi)の全ての生地は石川さんが自分で選んだもので、中國のプリントシルクがメイン。中國伝統(tǒng)の要素や歐州特有のデザインがプリントされた生地もある。
店內(nèi)に並ぶ各種生地(撮影?朱喆)
石川さんのデザインブック(撮影?朱喆)
作業(yè)機の上の本棚には、ファッション雑誌や縫製関連の本がたくさん並んでいる。2014年には、カメラマンの安井真喜子さんが數(shù)年にわたって撮影した、同店を通して見た上海の街や、上海で暮らす人々の生活、風景などをテーマにした寫真集「上海節(jié)奏(上海リズム)」を出版した。
寫真集「上海節(jié)奏」(撮影?朱喆)
安福路にはたくさんの外國人が住んでおり、オープンしてから數(shù)年間、店の客は近くに住む日本人や歐州人がほとんどで、中國人は2割ほどだったという?!?015年頃から、地元の人が増えてきた。ウェディングドレスの注文も3回あった。人生で一番重要な服の製作を私に任せてくれるなんて、私のことを認めてくれているということで、とても勵みになった」と石川さん。
日本の雑誌で紹介された石川さんの店(撮影?朱喆)
客の採寸をする石川さん(撮影?朱喆)
「こんなに他の人から評価を得て、気に入られ、認められる秘訣は?」との質(zhì)問に、石川さんは、しばらく考えてから、首を振り、「本當に分からない。私はただ、真剣に相手の話を聞き、その好みや望みを記録し、會話を交わしながら、相手の性格を理解し、その人にぴったりの、世界に一つしかない服を作ろうと努力している。そして、こつこつと頑張って、お客さんがほしいと思っている服を作ってあげたいと思っている」と答えた。