黒竜江省扎竜(ジャロン)國家級自然保護區(qū)は世界最大の野生のタンチョウの繁殖?生息地であると同時に、人工繁殖したタンチョウの世界最大の野生復帰拠點でもある。同地では最近、放し飼いにされているタンチョウのカップルが産んだ卵が孵化し、今年の春になってから1羽目となるヒナが誕生した。中央テレビニュースが報じた。
飼育員の徐恵さんによると、「このヒナはまずタマゴの殻に小さな割れ目を作り、それから少なくとも24時間かけて殻から完全に外に出て來る」と説明する。足環(huán)の番號が「L158」の母鳥は毎年、最も早く卵を産み、ヒナも最も早くに孵化するという。
毎年3月になると、タンチョウは繁殖期に入り、メスのタンチョウは1度に2個の卵を産み、その後メスとオスが交代で抱卵し、その期間は約33日ほどに及ぶ。タンチョウは警戒心が非常に強く、特に繁殖期になるとさらに強くなるため、人が近づくのは難しくなる。そのため、徐さんがパトロール中に撮影できたヒナが孵化する映像は非常に貴重なのだという。
徐さんは、「生まれたばかりのヒナの色はヒヨコと同じ。周りのヨシに近い色であるため、保護色となっており、じっくり観察しないとヒナを見つけることができない」と説明する。
野外で生まれたタンチョウのヒナはたくさんの試練に直面する。順調に孵化したとしても、全てのヒナがすくすく成長できるわけではない。黒竜江省扎竜國家級自然保護區(qū)では毎年、放し飼いされているタンチョウ15組が卵を30個ほど産むものの、最終的に成長するのはわずか10-15羽ほどなのだという。
野生のタンチョウの個體數を少しずつ増やすための模索に、同保護區(qū)は40年以上取り組んでおり、放し飼いを経て放鳥する2段階の野生復帰スタイルを確立してきた。足環(huán)の番號が「L158」のタンチョウのように、濕地において放し飼いされているのは、人工繁殖により誕生し、放鳥される前の段階にあるタンチョウだ。今回誕生したヒナは、親鳥が育てて、そのまま野生復帰することになる。
徐さんによると、「親鳥は1年かけて子供に魚の捕獲や飛翔を教える。來年の春に再び交配し、卵を産む前に、幼鳥の子供を獨り立ちさせる。これらの幼鳥が集まって群れとなり、野外で生息し、野生のタンチョウが來るのを待って、共に旅立っていくことになる」のだという。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年4月17日