音楽の仕事の中でも、今の河原さんにとって最もかけがえのないものは音楽教育だという。
――僕にとって譲れない1番大切なものは音楽教育なんです。教育に関わることであればギャラやスケジュールも全く関係なく二つ返事で受けています。
現(xiàn)在、僕の母校である音楽専門學校(滋慶學園グループ)が設(shè)立した上海の音楽専門學校で海外特別講師という名目で毎月教えているほか、この夏は爆風スランプのドラマー、ファンキー末吉さんが主催する中國と日本の子供たちが一緒に參加する4日間のドラム合宿でも作曲の講義を擔當します。
僕自身最初についたギターの先生や自分の師匠達に人間的な教育をしてもらったからこそ今があると思っていますし、世の中で1番未來を変える力があるのは教育だと思っています。
それに、教えることによって逆に學べることも多く自分自身が成長できます。実際、上海の音楽専門學校でも僕は本當に生徒達から學ぶことばかりで。僕が教えているのはテクニックのことが中心ですが、一生懸命に取り組む姿勢にいつも心を揺さぶられます。
先日も生徒たちの音楽発表會を行ったのですが、スピーチの時間にみんながみんな1番身近に接してくれたスタッフや先生への感謝の言葉を1番長く語っていて、その姿勢にとても感動しました。
河原さんは將來の夢について次のように語った。
――子供の頃から夢って言わないことにしています。言ったところで、もっとすごい未來が待っていて、ありえないようなことが自分の身に起こるので怖くて言えないんです。例えば中國に來るなんて、昨年の6月に會社を辭めたときには想像もしていなかったように――。
ただ近い目標で言うと、今年中に北京の小中學校にパソコンを持ち込んで、プロジェクターを使って、音楽ってこういうふうに作るんだよと教えてあげる無料のワークショップを開きたいと思っています。
中國は貧富の格差があるから、楽器なんて買えないと多くの人に言われるんですが、僕がやっている分野は中國では1番可能性がある音楽の形だと思っています。それはスマートフォンでも音楽が作れるからです。街中の飲食店でウェイトレスをやっている人達もサムスンやフィリップスなどのスマートフォンを使っています。スマートフォンがあればアプリをインストールできるし、それで音楽をならすことができる。僕はそこにすごい可能性を感じています。13億人が當たり前に音楽を作れる時代が來たら、そこからどんな音楽が奏でられるんだろうと。
少年のような表情で老人たちの指す將棋を見つめる河原さんを見て、河原さんはただ純粋に楽しむために北京に來たんだと、ふと思った。恐らく楽しむことこそが河原さんの原動力なのだ。それは、若くして手に入れた名譽やお金よりもきっと大事なことだったに違いない。今後中國で得たたくさんの喜びや感動を心の糧とし、心の底から作りたいと思う音楽を世に生み出していく河原さんの姿を我々は遠くない將來に見ることができるだろう。
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