中國の小説を翻訳するようになってから今年で14年、これまでに十數(shù)作品と、多くもないが少なくもない作品を日本語に翻訳してきた。その中でも余華の『兄弟』はわたしの翻訳の代表作とみなされ、翻訳者としてわたしを大きく成長させてくれた、わたしにとって特別な作品である。すでに『活きる』で世界的に著名な作家であった余華の『兄弟』は中國ではさまざまな物議を醸しながら大ベストセラーになり、やはり世界中で多くの言語に翻訳され、読まれている。當時、30代でまだ駆け出しといってもいい翻訳者の自分がこの大作を翻訳することになったのは、余華と親しかったわたしの「師」である東京大學の藤井省三教授、神戸國際大學の毛丹青教授らのご縁、さらに北京に暮らしていたことで余華と直接の面識を得たおかげにほかならない。(文:泉京鹿)
ただ、日本では、中國でどれだけ売れている小説であっても、その翻訳が出版に至るまでの壁は厚い?!盒值堋护?、実際四つの出版社の編集者にもちかけたが、余華の知名度をもってしても、上下巻というボリュームにほとんどの出版社が出版には二の足を踏んだ。そんな中で、文藝春秋の編集者だけはわたしのプレゼンに興味を抱いてくれて、企畫書(リーディング?レポート)の見本をくれて、それに沿って企畫書を書いてみるようにと言ってくれた。結果として、そのリーディングレポートに説得力があったということで、無事に出版が決定した。
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