寫真提供:佐渡多真子さん
―――― 北京に來て、フリーカメラマンとして仕事は最初から順調(diào)だったのでしょうか?
いえいえ。北京に來た當初は仕事がないので、毎日北京動物園にパンダの寫真を撮りにいってました。北京のパンダは朝しか動かなかったので、約2年間、特に最初の半年は週5日程、毎朝5時半頃に起きて動物園に通って撮影しました。
パンダを撮ろうと思ったのは、たまたまた北京動物園に行ったときに雙子のパンダがいることを知り、通常パンダの母親は一匹しか子供を育てない動物で、雙子を育てるのに成功したのは世界初だと聞いたからです。これはニュース性が高いと思い、ドキュメンタリーのように記録しようと思ったのがきっかけです。でも、後々になって世界初ではなかったことを知るんですが。
この時撮った寫真は、ある印刷會社にカレンダーの図案として採用されたり、新聞社に買われたりして、最終的に老荘思想の文章と合わせた形で、寫真集として2冊出版されました。
―――― その後、AP通信でも寫真を撮られることになったんですね。その時期は、どういった寫真を撮られていたんですか?
AP通信時代、私の作品の中で、仏紙ル?モンドを初め、世界中で最も広く使われたものは、北京の夏は暑いというニュースを伝える寫真で、ペットボトルを枕に寢ている子犬のダックスフンドや子供が水浴びしている寫真でした。SARSなどの寫真も撮りましたが、どちらかというと、子供や犬、ペットショップなど女性視點の可愛らしい寫真を求められていました。
―――― 佐渡さんの個人の作品には、例えばロバや犬、子供、日中夫婦などがありますが、作品として撮りたいテーマはどのように決められるのでしょうか?
単純に自分が撮りたいと思うものを撮るだけですね。恐らくなぜ撮りたいのかを知りたいがために撮っていくんだと思います。そうなったときには、どんなにお金や労力がかかったとしても、撮らずにはいられない情熱が湧き上がってくるものです。
ロバの作品は、ウイグル自治區(qū)を旅行したのがきっかけです。ロバや馬車は日本にはない非常に異國的な情景で好きなのですが、近代化に伴ってこの風景は消えてしまうだろうから、今記録として殘しておきたいと思ったことから撮影を始めました。
それにロバは表情豊かで面白いんです。メスのロバとか、尿の臭いを嗅ぐと、ぴくっとなって、ブヒブヒブヒっと鳴いて、ぱーっと走り出すんです。そうなると、どんなに止めても走るのを止めません。ロバが笑っている寫真もあるんですけど、それもオスのロバがメスのロバの尿の臭いを嗅いで嬉しそうにしている瞬間なんです。本能に忠実なんです。人間も好きって言ってまっすぐに走って行けたら、どれだけ幸せなことでしょう。そこが羨ましいですね。でも、人間に使われて、どこか悲しいところも併せ持っていますよね。
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