橫山さんの言語の捉え方はユニークで楽しい。
――日本人の考え方とか、中國人の考え方というのは、言葉から出るところがありますよね。
中國語は結(jié)構(gòu)何でも四文字にしたりして、カチカチしてますよね。妙に大げさになったり、形式的なところがあります。でも、それがいい面もあって、空間的だったり、広がりがあります。日本語の漢語もそうです。たとえば漢文だと、漠然としたイメージが広がり、響きもあり、格好いいです。
日本語はちょっとねちねちしてますね。特にひらがなは見た目もくねくねしていますし。(笑) もともと日本人の気質(zhì)ってねちねちしてますよね。
あと、中國は歴史を大事にしているじゃないですか。時間も広いし、空間も広い。日本はたとえば茶の間のようにあえて狹い空間を作って、そこに美を感じたりして、瞬間を大事にするという感じでしょうか。
橫山さんに今後の抱負を聞くと、次のような答えが返ってきた。
――実は、作家と言われると、まだぴんとこないんですよ。もちろん、今後も小説は書きたいとは思っていますが、おそらく専業(yè)にはならないと思います。
今後は、何かしら創(chuàng)作が続けられて、いろんな発見とか、自分が変わるような體験をずっとしていきたいなと思います。
次回作は、もうすこし先になりそうだが、読者はその前に「吾輩ハ貓二ナル」の中國語版を楽しむことができるはずだ。
――実は、「吾輩ハ貓二ナル」は、現(xiàn)在中國語版の翻訳が進んでいるんです。
ただ、この本を直接中國語に翻訳しても、日本語を勉強している中國人であれば別ですが、中國語にカタカナのルビをつけた本來の意味や魅力が半減してしまいます。でも、今回翻訳してくれる30代の外國語大學(xué)の教授は夏目漱石と魯迅の研究者で、魯迅の文體を取り入れて、魯迅小説に出てくるキーワードを散りばめながら翻訳をしてくれるそうなんです。そして、小説の部分部分でわざと日本語的な中國語を取り入れる。例えば、中國語の夏休みは、「暑假」と書きますが、それをあえて「夏休」として、中國人が漢字を見て、意味がわかる程度に日本語化するそうなんです。一部だけ翻訳したものを見たのですが、これは面白いなと思いました。
今一番それを読みたい読者はおそらく僕自身でしょうね。(笑)
◇
明治?大正期の小説が好きで、その文體を取り入れて小説を書きあげた橫山さんだが、奇しくも、<北京のお気に入り>で推薦してくれた段祺瑞執(zhí)政府も、約100年程前に建てられた建築物だ。北京において、このような西洋建築物は異質(zhì)な存在だ。しかも、人々から忘れ去られた民國時代の舊政府跡の建築物だ。でも、だからこそ橫山さんはこの建物に惹かれたのかもしれない。
「忘れられているものが好きですね。誰もが見ているものではなくて、人があまり見ていないものの中から、魅力を見つけ出すことが好きなのかもしれない」と語る橫山さんは、今後も人々が気付かないような、日常の中にある割り切れないもの、境界線上にある揺らぎを発見し、そこに光を當(dāng)てていくに違いない。まずは、自分自身を驚かせたいと語る橫山さんの次回作が楽しみでならない。
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